2017年5月6日(土)
米国務長官 北朝鮮資金断つ努力を
ASEAN「対話と緊張緩和」優先
外相会合
米国のティラーソン国務長官と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の外相は4日、ワシントンで会合を開きました。ティラーソン氏は「朝鮮半島の非核化が目標」だとして、国連安保理決議に基づく経済制裁の完全履行のために、北朝鮮との外交関係を「最小化」するよう要請。ASEAN側からは、「対話と緊張緩和」を優先すべきだとの意見が出ました。(ワシントン=遠藤誠二、外信部=面川誠)
会談後に記者会見したマーフィー国務次官補代理(東アジア・太平洋担当)によると、ティラーソン氏は北朝鮮大使館の規模が外交上の必要性に比べて明らかに大きすぎ、資金獲得のための経済活動の拠点になっていると主張。北朝鮮との外交関係を「最小化」すれば資金の流れを断てるとして、ASEAN各国が「一体となって経済制裁の完全履行のために適切な行動を取れば、北朝鮮の態度を変える効果を発揮する」と強調しました。
これに対してASEAN議長国フィリピンのマナロ外相代行は会談後、記者団に対して、今のところASEAN内部では北朝鮮との外交関係縮小を協議していないと言明しました。
マナロ氏は「われわれにとって差し迫った懸念は朝鮮半島の緊張だ」と述べ、緊張緩和と対話の必要性を強調。「緊張が激化し、ある種の誤算が生じた場合、(武力)衝突が起こりかねない」と懸念を表明しました。
ティラーソン長官とASEAN外相は、南シナ海情勢に関しては、「ルールに基づく秩序の順守」を再確認。「ASEAN諸国と中国が『南シナ海行動宣言(DOC)』の完全かつ実効ある履行を確約し、(法的拘束力を持つ条約文書の)『南シナ海行動規範(COC)』の早期締結のために努力を行う必要性を確認した」としています。
ティラーソン氏は、「アジア・太平洋地域はトランプ政権にとって最優先であり、ASEANは不可欠のパートナー」だとして、オバマ前政権が確立したASEANとの「戦略的パートナーシップ」を強化すると表明。8月にフィリピンで開かれるASEAN地域フォーラム(ARF)への出席を約束し、トランプ大統領が11月の東アジア首脳会議(EAS)に出席することも確認しました。