2017年4月19日(水)
遺族側「艦長に過失」
広島地裁 おおすみ訴訟口頭弁論
瀬戸内海の広島沖で2014年1月に起きた、海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」(8000トン)が、釣り船「とびうお」(5トン未満)に衝突、沈没させ船長と釣り客が死傷した事件で、遺族らが国の責任と損害賠償を求めている訴訟の第4回口頭弁論が18日、広島地裁(龍見昇裁判長)で開かれました。
原告側はこの日、第3回準備書面を提出。被告側の第2準備書面で「おおすみ」の位置情報について「AIS(自動船舶識別装置)記録」を根拠としながら、その元になる自衛隊のデータを提出していないことを指摘し、提出を求めました。
被告側が、衝突直前の午前7時59分ごろの時点で「(とびうおと)衝突する危険は生じていなかった」との主張について、原告は厳しく反論。「同時点まで衝突のおそれを認識していなかったというのであれば重大な過失」だと艦長らの過失責任に迫りました。
原告側の田川俊一弁護士が陳述し、「おおすみの位置関係について『AIS記録(抜粋)』に基づくとあるが、原証拠の提出をしない。衝突時刻も明らかにせず、原資料のコピーで済むのにそれも拒み、運輸安全委員会の報告の引用、自らの証拠ではなく伝聞で済まそうとする姿勢は許されない」と批判しました。
法廷後の報告集会には46人が参加。原告や弁護団、傍聴者からは真相究明に背を向ける国の無責任な姿勢に怒りの声が相次ぎました。次回期日は、6月20日午後1時半から。