2017年4月15日(土)
辺野古新基地建設 海底調査結果 未公表のまま
政府が来週にも着手を狙う辺野古新基地建設のための護岸工事。海底ボーリング調査結果も調査項目も公表しないままの強行です。工事をめぐり水中に置く土台である大型ケーソンの設置地盤の不安定さや、環境への重大な影響が浮かび上がっています。(山本眞直)
護岸工事をめぐって沖縄防衛局は2月から大型調査船「ポセイドン」による海底ボーリング調査を実施。「護岸建設の安全かつ適切な履行に必要な施工計画を検討するため」としてきました。
同海域は急峻(きゅうしゅん)な地形と空洞の存在が懸念される琉球石灰岩ともろいといわれる嘉陽(かよう)層という地質、断層が複雑に走る海洋工事の“難所”です。
こうした海域での長さ52メートル、幅22メートル、高さ24メートル、重さ7400トンという大型ケーソンの海底設置(V字形滑走路南側の先端部に6個)などによる巨大な新基地建設の無謀が指摘されています。地盤強度の不足による液状化や地盤沈下の可能性もその一つです。
護岸工事での汚濁土砂の拡散による貴重なサンゴ礁への影響、藻場の破壊による絶滅危惧種のジュゴンの生活圏の消失など環境への深刻な影響が懸念されています。
しかし沖縄防衛局は海底ボーリング調査結果の公表を求めた本紙の取材に「予断をもって答えることは差し控える」と回答を拒否しました。
沖縄本島と離島を結ぶ大型架橋工事で、琉球石灰岩の難工事を経験した土木関係者は、「地質など深刻な構造的問題が懸念されながら、海底ボーリング調査の結果を隠ぺいしたままの工事はあまりに無謀だ」と批判します。
そもそも前知事が認めた岩礁破砕許可期限が3月末に切れているにもかかわらず、沖縄県への再申請を拒否したままの無法工事です。翁長県知事は、工事を継続すれば埋め立て承認の「撤回」を表明しています。
前例のない暴挙
目崎(めざき)茂和・元琉球大学教授(理学博士)の話 大浦湾の辺野古沿岸と対岸の瀬嵩(せたけ)沿岸には内部に空洞が指摘されるサンゴ礁が分布している。海底には強弱の土質がサンドイッチのように重なりあい、地滑りしやすい嘉陽層の台地と急峻な崖は海底活断層とも言え、この上に巨大な新基地建設の強行は世界的に前例のない暴挙だ。
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