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2017年4月12日(水)

安倍政権と森友 「教育勅語」持ち込み

狙いは「戰爭出来る國」

靖国派の国政私物化

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 国有地が格安で売却された学校法人「森友学園」(大阪市)の疑惑で浮上した「教育勅語」の暗唱など異常な教育内容。一方での安倍政権による「教育勅語」の学校教材としての持ち込み。二つの問題からは、改憲右翼団体「日本会議」と一体の勢力による戦前回帰の教育礼賛と、そのための国政私物化という本質がみえてきます。

 厳しい財政状況なのに学校認可、8億円も値引きされて国有地売却…。通常では考えられない森友学園への厚遇の背景について籠池氏は国会での証人喚問(3月23日)で、「その都度の場所で政治的な関与があったのではないか」と証言しました。

 安倍晋三首相は「妻の友人から紹介されて、この森友学園を知るところとなった」(2月28日の参院予算委員会)と説明。しかし夫人の昭恵氏を含め自身が森友学園側と関係を持ち始めた時期については「記憶がない」と明確にしていません。

 昭恵氏は、森友学園が運営する塚本幼稚園(大阪市)を2014〜15年の2年間で少なくとも3回訪れ、講演しました。

 15年9月、同学園が国有地に開設を予定した小学校の名誉校長を引き受けたときは「園児達は大変お行儀が良く元気です。毎朝君が代を歌い、教育勅語、論語や大学などを暗唱」とフェイスブックに感動をつづりました。

 安倍首相自身も、当初は籠池氏について「私の考え方に非常に共鳴している方」「教育に対する熱意は素晴らしい」(2月17日)と持ち上げていました。

 同学園の小学校のパンフレットでは、平沼赳夫衆院議員も「幼児教育で大変な実績を挙げられた塚本幼稚園の籠池先生」と高く評価。平沼氏は中山成彬元衆院議員らとの共著で、塚本幼稚園の教育に対し「(教育勅語を)暗記しておくことは重要だ」とほめています。

 国有地取得で籠池氏から繰り返し相談を持ち掛けられていた自民党の鴻池祥肇参院議員も、森友学園で講演したときの様子を「子どもたちの態度は素晴らしいと思った。教育勅語を全員で言ったり。思想的にもわしに合うなと思った」(3月1日の会見)としています。

 「教育勅語」を礼賛してきたのは改憲右翼団体「日本会議」や、日本会議国会議員懇談会です。安倍首相をはじめ、平沼氏や鴻池氏も同懇談会に所属しています。日本会議大阪は、天皇、皇族「奉迎」行事に塚本幼稚園の園児が参加したとの記事を機関紙『日本の息吹』にたびたび掲載。事実上、同幼稚園を宣伝に利用していました。

 結局、「森友」疑惑とは、「日本会議」勢力による、教育の戦前回帰のための国政私物化ではないのか―こんな疑いが浮かびあがります。

教材「否定せず」

 森友学園は、「教育勅語」の暗唱などその教育内容に対する国民的な批判を受け、新理事長のもと見直す方針を打ち出しました。

 ところが安倍政権は、批判に耳を傾けるどころか、学校現場に「教育勅語」を持ち込もうとしているのです。

 閣僚就任前から「教育勅語」を礼賛してきた稲田朋美防衛相は「森友」疑惑が焦点になっている今でも「現代でも通用するような価値観はある」(11日の記者会見)と発言。安倍政権は3月31日、「憲法や教育基本法などに反しないような形で勅語を教材として用いることまでは否定されない」との答弁書まで閣議決定しました。菅義偉官房長官や松野博一文科相は道徳の教材にすることも「否定しない」と発言しています。

 そもそも「教育勅語」は、明治天皇が臣民(君主が支配する人民)に守るべき徳目(道徳)を示した教え。親孝行、夫婦仲良くなどの徳目はすべて「天皇のために命をさしだせ」という結論につながり、侵略戦争へ駆り立てる役割を果たしました。

 戦争への道を進んだ痛苦から生まれたのが日本国憲法(1947年5月施行)であり、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」を掲げた旧教育基本法(47年3月施行)です。「教育勅語」はこの憲法と当時の教育基本法に反するから、48年に衆参両院で排除・失効確認の決議が上がったのです。「憲法や教育基本法などに反しないような形」などの理屈は成り立ちません。

 安倍政権の下で、特定秘密保護法、安保法制=戦争法が強行・施行され、そして「共謀罪」法案などが狙われるなかでの「教育勅語」の教育内容への持ち込み。これらに連なるのは、「戦争する国」づくりに向け国民の自由と権利を侵害し、モノを言えない監視社会をつくろうという危険な暴走政治です。


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