2017年4月6日(木)
マルチ商法被害拡大
官僚OB関与か 処分遅れ
ジャパンライフ問題 大門氏が追及
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日本共産党の大門実紀史議員は5日の参院消費者問題特別委員会で、マルチ商法大手「ジャパンライフ」(東京都千代田区、山口隆祥会長)が一部業務停止命令を受けた問題を追及。同社が悪質商法を行っている疑いがあるのに処分が遅れた背景には、高級官僚OBなどさまざまな圧力が働いた疑いがあることをあげ、消費者被害を拡大させない厳正な対応と事実関係の解明を強く求めました。
現物まがい商法
消費者庁は今回の処分で、同社が扱う商品の一つである磁気ネックレスについて、顧客から預かった約2万2000個のうち実際にレンタルされていたのはわずか2000個余で、保管されているはずの約2万個は「存在していなかった」としています。
大門氏は「現物がないのに、あるように見せかけて金を集める『現物まがい商法』『ペーパー商法』が行われているということだ」と指摘。
処分にたいして同社の山口会長が抗議し、従来と同じ営業を継続していることをあげ、どう対処するのか、消費者庁をただしました。
川口康裕消費者庁次長は「処分に従わない場合は刑事告発が可能だ」と答えました。
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狙われた高齢者
大門氏は「そもそもジャパンライフはどういう企業か」と問いかけ、年表を示し、「山口会長は日本のマルチ商法の“創始者”の1人だ」と指摘。
今回の処分が、15年9月の立ち入り検査から1年3カ月も遅れた背景に、消費者庁の課長補佐が同社に天下りしていたほか、複数の高級官僚OBが同社の「顧問」などに就任していることが働いたのではないかと指摘しました。
大門氏が特に問題視したのは、元内閣審議官で内閣府国民生活局長などを歴任した人物。同社の「顧問」だけでなく、ジャパンライフと密接なNPO法人「活生(いきいき)ライフ」の理事長を務めています。
このNPO法人は、都内のジャパンライフ本社近くに構えている本部事務所は空き室状態、全国に置いている「支店」はジャパンライフの支店と同一という実態不明の団体です。「お年よりの人生最後の時期をサポート」として、身元保証人や遺言書の作成、財産管理のサポートをするなどとしています。
大門氏は「お年よりをレンタルオーナーにして金を出させたうえ、最後は全財産の管理までする」「(この人物は)ジャパンライフがお年よりを食い物にするパートナーだったのではないか」と追及しました。
政治家の関与は
大門氏は、ジャパンライフには「政治家の関与もある」として、下村博文元文科相に政治献金(下村氏が支部長の自由民主党東京都第11選挙区支部への10万円、2014年)があることを指摘。独自に入手した同社の「お中元発送先リスト」には多数の政治家の名前があることをあげ「こういうたくさんの関係があるから、ジャパンライフは『消費者庁なにするものぞ』という態度をとっている。対処すべきだ」と求めました。
松本純消費者担当相は「正面から受け止めて適切に対処する」と答えました。
ジャパンライフ 1974年創業のマルチ商法(連鎖販売取引)大手。磁石がついたベストやネックレスなどを100万円から600万円で販売し、レンタルに回すと年6%の利益が得られるという「レンタルオーナー契約」を、訪問販売やマルチ商法で勧誘しています。消費者庁は、顧客にたいして故意に虚偽の説明をしていたと認定。同社に対し昨年12月に3カ月、3月に9カ月、計1年間の一部業務停止命令を出しました。