2017年4月5日(水)
「共謀罪」反対 広がる
国民を監視 自由脅かす
政府・与党が6日にも審議入りさせ、今国会で成立を狙う「共謀罪」法案。国民の思想・信条や言論・表現の自由を脅かす希代の悪法に、法律家団体など各界各層の反対の声と行動が急速に広がっています。
学者
「共謀罪」についての専門的な知識から同法案に強く反対しているのが、刑法学者です。葛野尋之一橋大教授、高山佳奈子京大教授ら7人の呼びかけ人が2月1日、「共謀罪」法案提出反対の声明を発表。声明は、「テロ対策」とは関係のない国際条約の締結を口実とする法案提出の欺まん性や、歯止めのない捜査権限乱用の危険を告発しています。同声明には、すでに160人を超える刑法学者が賛同しています。
法学、政治学から自然科学まで幅広い分野の学者が結成し、安保法制=戦争法の廃止を主張する「立憲デモクラシーの会」も3月15日、「共謀罪法案に反対する声明」を発表しました。
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法曹界
法曹界でも反対の声や運動が広がっています。
日本弁護士連合会(日弁連)によると、全国に52ある単位弁護士会のうち47会(3日現在)が共謀罪に反対する声明を出しています。
各地の弁護士会では、共謀罪反対のパレード、街頭宣伝、出前講座、集会、シンポジウムなどを行っています。
日弁連は3月31日、「共謀罪」法案の国会上程に対する会長声明を発表。「全国の弁護士会及び弁護士連合会とともに、市民に対して本法案の危険性を訴えかけ、廃案になるよう全力でとりくむ」と表明しています。
社会文化法律センター、自由法曹団、青年法律家協会弁護士学者合同部会、日本国際法律家協会、日本民主法律家協会、日本労働弁護団で「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」を結成。2月27日、「憲法違反の共謀罪創設に強く反対する共同声明」を発表しました。同団体は市民とともに集会、宣伝、署名などを行っています。
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市民
「共謀罪」に反対して市民が自主的に立ち上がっています。
「未来のための公共」が毎週金曜日の夜に国会正門前で続けている抗議行動でも、「共謀罪」反対の声があがっています。「共謀罪はいらない」「自由を守れ」のコールをはじめ、「共謀しているかどうかを判断するために、警察が怪しいと勝手に判断した団体や市民は、日常的に監視される」などのスピーチも。国会前では、個人が呼びかける緊急抗議行動もおこなわれています。
若い世代でつくる北海道のユニキタ(UNITE&FIGHT Hokkaido)は、「犯罪の疑いがあればその周辺の人たちまでもが監視対象になる。メールやLINE、SNSものぞかれる。そんな監視社会にNO!を」と札幌市内で緊急抗議を実施(3日)。大阪市では市民有志がよびかけて「安倍政権の退陣を求める緊急行動」(3月31日)がおこなわれ、「共謀罪など許せない」の声があがりました。
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言論界
文学・文化にかかわる人々でつくる日本ペンクラブ(浅田次郎会長)は7日午後6時半から、イベント「共謀罪は私たちの表現を奪う」を東京都文京区の「文京シビックセンター小ホール」で開きます。閣議決定に抗議し共謀罪とその先に来る監視社会に「NO」を宣言し、ひきつづきインターネットを通じ反対を発信します。2月15日には、反対声明を発表しています。
日本雑誌協会人権・言論特別委員会と日本書籍出版協会出版の自由と責任に関する委員会は連名で3月21日、「内心の自由」「表現の自由」を脅かすとして反対声明を出しました。
日本新聞労働組合連合(新聞労連)は2月23日に反対声明を、日本民間放送労働組合連合会(民放労連)は2月10日に法案の国会提出断念を求める声明、3月21日に閣議決定に抗議する声明を、日本出版労働組合連合会(出版労連)は、2月15日の臨時大会で「成立を断じてゆるしてはなりません」とする特別決議をあげました。