2017年3月18日(土)
米、軍事費1割増 予算教書骨格
環境・援助は3割減
【ワシントン=遠藤誠二】米政府は16日、トランプ政権で初となる2018会計年度(17年10月〜18年9月)の予算教書の骨格を議会に提示しました。軍事費(国防予算)を前年比10%増加する一方で、非軍事分野はほぼすべてにわたり大幅に削減する内容。軍事第一、民生軽視の姿勢が鮮明に表れています。
予算教書は「米国第一」と名付けられています。「過激武装組織IS打倒」「米軍再建」を掲げ、国防予算の基本予算は前年度比10%増の5740億ドル(約66兆円)。基本予算とは別に国外作戦経費も646億ドル計上しました。軍事予算は全体の56%を占めます。
このほかに予算増となったのは、移民を取り締まる国土安全保障省関連で28億ドル増(6・8%)の441億ドル。退役軍人省関連が6%増の789億ドルです。
これら以外はすべての省庁で削減され、なかでも際立っているのが、国務省と国際開発局(USAID)関連。256億ドルから101億ドル(28%)減らします。国連などの機関への拠出減、気候変動対策関連の国連計画への拠出もなくします。
環境保護局(EPA)予算も57億ドルから26億ドル(31%)減。外交軽視、環境保護敵視の政策が強く反映されました。予算教書骨格でトランプ大統領は「米国民の幸せと安全保障を優先させ、米国以外の国に公平な負担、力を入れることを求める時だ」と異様な「米国第一」を主張しています。
エネルギー省は全体では280億ドルで前年比5・6%減ですが、原子力関連の予算は11%増となりました。
その他、農務省21%減、労働省21%減、商務省16%減、教育省13%減、住宅・都市開発省13%減、運輸省13%減など、国民のための「米国第一」とは程遠く、行政サービスの大規模な後退を強行する予算です。