2017年2月6日(月)
二審、政府の訴え退ける
米入国禁止令 引き続き停止
【ワシントン=洞口昇幸】特定国出身者や難民の入国を禁止した米大統領令の一時差し止めを命じた地裁決定について、米カリフォルニア州サンフランシスコの連邦控訴裁判所(二審)は4日、地裁命令の停止を求めた米司法省の訴えを退ける決定を下しました。これにより、大統領令は引き続き停止されます。
大統領令をめぐっては、ワシントン州シアトルの連邦地裁が3日、各州の活動に損害を与え「州自体が有害な影響を受ける」などとして、全米を対象に即時暫定的な差し止めを決定。それに対し4日、司法省が控訴裁に取り消しを申し立てていました。
トランプ大統領は4日、滞在先のフロリダ州で記者団に対し「われわれの国の安全のため(司法の場で)勝利する」と表明。それより先、地裁決定についてはツイッターに複数回にわたって投稿し、「この判事とかいうやつの意見は、国から法執行を奪うもので、ばかげており覆される」と攻撃していました。
地裁決定を受け、国務省当局者は4日、特定国出身者の査証(ビザ)取り消しを撤回し、有効なビザを所持する者の入国を認めると明らかにしました。米メディアが報じました。
国土安全保障省も同日、通常の入管業務を再開するとの方針を示しました。航空各社は入国禁止とされた人たちの搭乗を再開し始めました。
大統領令により、有効なビザを持っているにもかかわらず、入国を拒否される事態が起きました。事実上、イスラム教徒の入国を禁止する大統領令に、国内外のあらゆる方面から批判や見直しを求める声が噴出していました。
首都ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス、フィラデルフィアなど米各地で4日、トランプ政権の差別・排外主義的な姿勢に抗議する市民の集会が行われました。