2017年2月1日(水)
入国制限は“移民国家の歴史けがす”
ワシントン州が訴訟
16司法長官が「違憲」と共同声明
【ワシントン=遠藤誠二】中東・北アフリカの特定の国からの渡航者の入国を制限するトランプ米政権の大統領令をめぐり、米西部ワシントン州のファーガソン司法長官は30日、トランプ大統領や国土安全保障省を相手取り、同大統領令を「違憲」とする訴訟を同州シアトルの連邦地裁に起こしました。
州が同大統領令に対して訴訟を起こした初めてのケースとなります。全米の各国際空港などで、ビザ(査証)やグリーンカード(永住権カード)を保有している米国内の居住者らも入国が拒否されたことから、ファーガソン州司法長官は、大統領令実行の暫定的差し止めの申し立てもおこなう予定です。
同州のインスリー知事は、大統領令は「すべてのワシントン州民に対する侮辱かつ危険をまねくものだ」と訴訟の理由について語りました。
ファーガソン州司法長官を含め、全米の15の州、連邦首都ワシントン特別区の司法長官は29日、大統領令を「違憲」とする共同声明を発表しています。
声明は、「1億3000万人以上の米国人、外国人居住者がいるわれわれの州の司法の最高責任者として、トランプ大統領による、違憲で、米国的でなく、違法な大統領令を非難する。そして、連邦政府が憲法を順守し、移民国家である米国の歴史を尊重し、どの人に対しても違法に国籍や信仰を理由に標的としないことを確かなものとするため、われわれはともに取り組む」と宣言しています。
声明はさらに「信教の自由はこれまでもこれからもいつもわれわれの国における根本的な原則だ。どの大統領もそれを変えることはできない」「大統領令は最終的に、裁判所によって無効になることを確信している」と強調しています。