2017年1月11日(水)
震災復興費で購入の海自機
災害対処口実 戦争法の演習!?
本紙調査
2011年の東日本大震災の復興予算で「災害対処能力の向上」を理由に購入した海上自衛隊の輸送機を、戦争法で地球の裏がわでの米軍との武力行使を可能としている「重要影響事態」を初適用した日米軍事演習に“参戦”させていたことが10日、本紙の調べで分かりました。災害対処を口実に購入した輸送機を、日米演習で使用していることが確認されたのは初めてです。(山本眞直)
問題の輸送機は、海自厚木基地所属で機体番号9051のC130R輸送機。同機は2016年10月30日から11月11日にかけて日本各地の自衛隊基地と在日米軍基地および周辺海域、南太平洋のグアム、テニヤンなどの北マリアナ諸島海空域で実施された日米共同統合演習(キーンソード17)に参加。その一環として沖縄県の米空軍嘉手納基地で実施された弾薬輸送訓練で「弾薬輸送(模擬弾)」を担当しました。
同訓練について防衛省は一切、公表していません。しかし、嘉手納基地のウェブサイトが同訓練を伝えたなかに、機体番号9051が記された海自のC130R輸送機から模擬弾の積み下ろし作業を行っている様子が写っていました。
海自のC130Rは、11年度補正予算の復興予算を使い、災害対処を口実にして、米海兵隊の中古機を6機、計150億円で購入しました。それまで使用してきたYS11輸送機が老朽化するなかで、東日本大震災の復旧活動の急増により運用停止時期が早まった、としてC130輸送機への更新を前倒しして購入を決めたのです。
日本共産党の佐々木憲昭衆院議員(当時)は、12年3月の衆院財務金融委員会で「自衛隊機を予定よりも前倒しで買い替えるため復興特別会計に入れること自体がおかしい。悪のりだ」と批判しました。
防衛省はこうした指摘に対し、「自衛隊の災害対処能力の向上に沿っており適切だ」と、災害対応に必要だと釈明していました。
「災害」を口実に国民の税金で購入しておきながら、海外派兵のための訓練に使用していることは、批判を免れません。
同省は、日米軍事演習で使われた同輸送機についての本紙の問い合わせに「運用上の問題であり差し控えたい」と回答を拒否しました。