2017年1月8日(日)
子どもの貧困と向き合う
埼玉で全国教育研究交流集会
研究者、教師、市民・保護者ら
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「すべての子ども・若者に学ぶ喜びと生きる希望を」をテーマに「第25回全国教育研究交流集会in埼玉」が7日、さいたま市内で開かれ、132人が参加しました。主催は民主教育研究所と、さいたま教育文化研究所。
全体会第1部は「子どもの貧困とどう向き合うか〜埼玉からの発信」です。生活保護家庭を訪問し、信頼関係を築きながら中学生を対象に高校進学を助けるための週1〜3回の教室を開いてきた「アスポート学習支援」。その取り組みを取材し描いた民放のドキュメント番組を上映しました。
さいたま教育文化研究所長の山口和孝さん(埼玉大学名誉教授)は「教育からも福祉からもみえなくなっている、学ぶ喜びと生きる希望から切り離された子どもたちとどう向き合うかが課題となっている」と語りました。同研究所の白鳥勲さん(元高校教師)は、アスポート学習支援事業が中・高校生を対象に県内73カ所に広がっていると紹介。「『分かると楽しい。もしかしたら明日は、学校に行けるかも』との声が聞ける瞬間があり、それが喜び」
学習支援を受けた女性(20)は「一番学んだのは、人は頼っていいんだよということです」と映像で発言。学習支援事業の若い支援員は「学校の枠からこぼれ落ちてしまう子どもたちの思いに寄り添いたい」と語りました。
全体会第2部で、朝岡幸彦実行委員長(民主教育研究所運営委員)が、▽学び、表現し、聞くことの意味を問う▽子ども・若者の現実に立脚した実践を―などについて基調報告。シンポジウムでは、主権者教育の現場、若い教師の苦悩、そして“9条俳句”をさいたま市内の「公民館だより」に掲載拒否された事件を通して「学び・表現すること」の意味について考えました。
シンポジウムで報告した埼玉県の私立高校・自由の森学園教員の菅間正道さんは「現在の若者たちは安心・安全に生き、自己・他者・世界と出会い、自己・他者・世界を信頼・受容できない人が多いのではないか。どう向きあうか」として、二つの「あい」が重要だとしました。一つは、学びあい、支えあい、聴きあい、かかわりあい、活(い)かしあい。もう一つは「アイ=私」とし、具体的な授業実践の内容を報告しました。
同集会2日目の8日は、テーマ別の九つの分科会と一つの特別分科会が開かれます。