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2017年1月6日(金)

主張

兵器研究助成18倍

科学者の軍事動員を許さない

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 安倍晋三政権が昨年末に閣議決定した2017年度予算案で、大学や公的研究機関、民間企業に軍事技術の研究を委託する「安全保障技術研究推進制度」(研究推進制度)に110億円を計上しました。「学問の府を軍事研究の場にするな」との研究者の批判に背を向け、防衛省の概算要求どおり、16年度(6億円)の18倍という異常な増額を盛り込んだことは重大です。

米国の兵器開発に追随し

 「軍学共同」の本格化の狙いは、最先端の軍事技術開発を進める米国に追随し、自衛隊の技術力を強化することにあります。「戦争する国」を支える体制づくりの一環として、科学者を兵器開発に動員するために、札束で学術界の切り崩しを図ろうというのです。

 米国は、ステルス機や無人機、高エネルギーレーザー、全世界監視攻撃システムなど最新鋭兵器開発を進めています。自民党の「防衛装備・技術政策に関する提言」(昨年5月)は、米国などとの国際共同開発への参加に向け、20年後、50年後を見通す戦略的な研究開発の推進を首相に求めました。大学の研究や民間企業の技術を軍事に取り込むため、先端技術を兵器に実用するまでの研究開発の拡大と、それにつながる基礎研究の推進を一体に追求し、研究推進制度を100億円規模へ大幅増額することを要求しています。

 防衛省の研究推進制度は、研究者の自由な発想に基づく研究を支援する文部科学省の科学研究費助成事業などとは違い、防衛省策定の「研究開発ビジョン」などにもとづくテーマで募集されます。

 この2年間で大学9件、研究機関5件、民間企業5件の合計19件の研究課題が採択されました。「マッハ5以上の極超音速飛行が可能なエンジン実現」「メタマテリアル技術による電波・光波の反射低減及び制御」など、将来戦闘機や無人機の高速化、ステルス化に向けた基礎研究が目立ちます。

 日本共産党の井上哲士議員は参院での質問(昨年12月)で、大学や研究機関などを軍事の下請けにする制度だと追及、これに対して防衛装備庁の石川正樹審議官は、それらの研究が有人戦闘機と連携して攻撃する無人戦闘機の開発に直結することを認めました。

 同庁の渡辺秀明長官は「ジェットエンジンの耐熱材料開発もそうですが、研究の完成度を高め、技術を獲得するには製造試験装置を作るなどある程度の規模が必要になります」(「毎日」昨年10月27日付)と、予算の大幅増額の狙いが戦闘機の開発にあることをあけすけに語っています。

 この制度に対して、全国で科学者からの批判が広がっています。

 関西大学は昨年12月、防衛省の研究推進制度への申請を認めないなど、研究内容が軍事防衛目的である場合に、研究費などを一切受け入れない方針を決めました。

「学問の自由」阻害認めぬ

 日本学術会議の検討会でも、防衛省職員のプログラムディレクターが委託先の研究の進行状況を管理することが問題視されました。山極寿一京都大学学長は「研究者の中立性と自由な判断を阻害するものであり、到底受け入れることはできません」と批判しています。

 人類の平和・福祉に貢献すべき学術を軍事に利用し、「学問の自由」を阻害する防衛省の研究推進制度の廃止を強く要求します。


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