2016年12月16日(金)
シリア・アレッポ 民間人負傷者が避難
停戦・撤退合意を一部実行
【カイロ=小玉純一】シリアのアレッポ東部での戦闘でアサド政権側に追い詰められた反体制派と政権側が13日に合意した撤退計画が15日、一部実行に移されました。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによれば、医療手当の必要な民間人の負傷者を乗せた最初のバスが政権側の支配する西部へ到着しました。
戦闘員が計画通り撤退するかは不明です。
計画全体が実行に移された場合、撤退には2、3日かかる見込み。民間人1万5000人と戦闘員4000人がアレッポを離れる意向を示しているといいます。戦闘員らは政権側が支配するアレッポ西部を通過し、反体制派が支配する西部イドリブ県へ向かうもよう。ロシアは無人機で撤退を監視する意向です。
この撤退が完了すれば、紛争開始前の最大都市アレッポでの戦闘が終わり、政権側は主要都市すべてを制圧したこととなります。ただ政権側と反体制派の戦闘は別の形で続きます。イドリブ県やダマスカス郊外など反体制派が勢力を維持する地域への政権側の攻撃が続く可能性があります。アルカイダ系組織は引き続き政権側を攻撃するとしています。
アレッポでの停戦・撤退合意は13日、政権を支援するロシアと反体制派を支援するトルコの協議の結果として伝えられました。いったん戦闘がやんだものの、撤退が始まらず、戦闘が14日、再開していました。
政権を支援するイランが、イドリブ県のシーア派の避難を条件にしたと伝えらえます。
ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は14日、電話で会談し、撤退の実行で努力することを確認しました。