2016年12月9日(金)
論戦ハイライト
合法化の根拠崩れる
カジノ 大門氏
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日本共産党の大門実紀史議員は8日の参院内閣委員会で、違法なカジノを国内で解禁できるという推進派の論拠を突き崩し、カジノ解禁推進法案の徹底した審議と廃案を求めました。
大門氏は、法案がカジノの具体的制度設計は政府がつくる「実施法」に先送りする「政府丸投げ法」という構造になっていることをあげ、政府への質疑も必須条件だと求めました。
難波奨二内閣委員長は「理事会で協議する」と答えました。
政府認識ただす
大門氏は、これまでサラ金問題・多重債務問題に取り組むなかで「賭博の怖さ」を実感した体験に触れながら、「長い間、刑法で賭博が禁じられてきた重みを分かっているのか」とただしました。
安倍内閣が閣議決定した「日本再興戦略」はカジノを盛り込んでいます。カジノを中核とする統合型リゾート(IR)で観光客を呼び込むとしていますが、政府が2020年までの海外からの観光客受け入れ2000万人は今年すでに達成されています。
菅義偉官房長官 観光振興などに資すると期待される。
大門 カジノなんかなくても観光客は増えている。そんなきれいごとをいうべきでない。賭博は犯罪だ。
大門氏は、政府も法案提出者も「あまりに言葉が軽く、賭博が刑法で禁じられている重みを分かっていない」と批判しました。
大門氏は、『日本書紀』をひもときながら、689年の「すごろく禁止令」からはじまった日本の賭博禁止は、天武天皇のばくち行為を憂えた妻の持統天皇が自分が即位したあとすぐに出したものだと説明し、委員会室をうならせました。
大門氏は、競輪・競馬などの公営賭博が、刑法の違法性を阻却(しりぞけること)して行われている“要件”に照らして、カジノが合法化できるのかをただしました。
民営賭博不可能
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大門氏の求めに法務省が提出したのが、カジノの違法性を阻却するための8要件(表)です。
西村康稔議員(法案提出者) 政府が実施法を決める際、8要件をクリアする制度をつくる。
大門 今まで示されてきた法務省の見解を意図的に拡大解釈しない限り、それはできない。
8要件のうち目的の公益性では、法務省は「収益の使途を公益性のあるものに限る」とし、営利目的の民営カジノは逆立ちしてもこれを満たせません。同じく運営主体は「官又はそれに準じる団体」とし、民間事業者による運営など想定外です。
日本初の民営賭博の解禁は、日本の法体系を根本的に覆さない限りできないことであることが明らかになりました。
大門氏は、8要件の「副次的弊害」であるギャンブル依存症問題についてただしました。
岩屋毅議員(法案提出者) ギャンブル依存症をすべてゼロにするのは難しい。その可能性を極小化する努力をする。
大門 カジノを開いておいて依存症を増やさないということはできない。
大門氏は、カジノが収益をあげるということは、それだけ依存症になりカジノにお金を落とす人をつくることだとして、カジノ合法化の断念を強く求めました。