2016年12月6日(火)
米政府、パイプライン却下
反対運動の先住民 勝利に沸く
ノースダコタ 建設計画
【ニューヨーク=遠藤誠二】米ノースダコタ州を通る予定の石油パイプライン建設をめぐり、米陸軍工兵司令部は4日、建設を認めない決定をくだしました。建設に反対してきた現地の先住民族スタンディングロック・スー族の人たちは勝利に沸き返っています。
工兵司令部は声明で、「(同司令部敷地内にある)提案のあったオアへ湖への通行権については認めない」と断言。パイプラインをあくまで通そうとする場合は、ルート変更が必要となります。
スタンディングロック・スー族のデーブ・アーチャンボルト議長は4日、「われわれとすべての先住民は、オバマ政権による歴史的な決定を永遠に感謝する」「この大義を支持し役割を果たしたすべての人々に感謝したい」と述べました。
同計画は、ノースダコタ州からイリノイ州まで4州を斜めに貫くパイプライン。スタンディングロック・スー族の居住地の近く、オアへ湖の下を通り、彼らが飲料水とするミズーリ川を交差します。工事を請け負うエナジー・トランスファー・パートナーズ社は、建設をあくまで強行しようとし、ルートの変更もしない構えです。
先住民や支持者は、川を汚染し、自然を破壊し、先住民族の貴重な遺跡を破壊しかねないとして「水は命」を合言葉に反対運動を展開。工兵司令部から要請された退去の期限である5日には、全国の支援者を含めて、現地で数千人規模の抗議行動が予定されています。
政府は、建設を一度は許可しましたが、その後保留し、今回、最終判断を下しました。しかし、来年1月に就任するトランプ次期大統領は、パイプライン建設を含むインフラ整備の推進を掲げており、化石燃料の代替を進めてきたオバマ政権のクリーンエネルギー政策を転換するとしています。