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2016年12月2日(金)

主張

北朝鮮の制裁強化

実行と6カ国協議再開に力を

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 北朝鮮が9月に強行した5度目の核実験と、繰り返される弾道ミサイル発射に対し、国連安全保障理事会は11月30日、新たな経済的な制裁措置を盛り込んだ決議を全会一致で採択しました。「国際の平和と安全への継続した明白な脅威」である北朝鮮の核・ミサイル開発を止め、核放棄へ向かわせる上で、各国には制裁の全面的で厳格な実施が求められます。

軍事対立の激化を避け

 採択された決議2321は、北朝鮮の核・ミサイル開発への資金投入を減らすため、同国の主要な外貨獲得源である石炭の輸出に上限を設け、輸入国には毎月の調達量を制裁委員会に通知する義務を課します。銅やニッケルなどの金属の輸出も禁止し、各国に駐在する北朝鮮外交官と外交施設が持つ銀行口座の数を制限します。北朝鮮の船舶の登録を取り消し、同国への船舶提供も禁止します。

 国民の生活や民生経済、人道援助への悪影響は避けるとしつつ、3月の安保理決議よりさらに厳しい内容となっています。重要なことは制裁の実効性です。国連の潘基文(パンギムン)事務総長は「各国の制裁の実施能力を強める国際的な協力が必要」とのべ、国際社会の結束した行動を呼びかけました。

 決議は、北朝鮮、中国、日本、韓国、ロシア、米国による6カ国協議の再開をあらためて要請しています。安保理の討論では、「制裁そのものが目的ではない」(スペイン)として、北朝鮮にこの間の安保理決議や2005年の6カ国協議の共同声明などの国際合意を守らせ、核問題を外交的、政治的に解決するよう主張する発言が相次ぎました。

 中国、ロシアの代表は朝鮮半島での軍事演習やミサイル防衛施設の建設など対立を激化させる行動に懸念を示しました。決議は、「緊張を緩和する取り組みの重要性を強調する」としています。

 北朝鮮はこの間、米国に「平和協定」の締結交渉を要求する一方、自らの核保有を前提として、6カ国協議に否定的な態度をとっています。協議再開を実現するには、新政権が発足する米国をはじめ関係各国が、北朝鮮への新たな働きかけを行うことが不可欠です。

 北朝鮮の核・ミサイル開発に国際社会が対応する上で、対話による問題解決に徹すると同時に、「核兵器のない世界」への具体的行動に本気で取り組むことが必要です。

核兵器禁止の立場で迫る

 安保理メンバーのうち、この間、核兵器禁止条約の国際交渉の開始を主導してきたエジプトなどの代表は、討論でも、地球上の核兵器をすべて廃絶する取り組みの緊急性を主張しました。それが北朝鮮に核兵器開発の口実を失わせ、核放棄を強く迫ることになります。

 決議の実施において「包括的で協調した行動こそ、北朝鮮の核拡散と国際的義務への違反は許されないという、国際社会からの最も強いシグナル」(ニュージーランド)です。

 日本には、唯一の被爆国として、特別の責任が求められます。日朝の間には、核・ミサイル・拉致・過去の清算など諸懸案の包括的解決をめざす「日朝平壌宣言」(02年)もあります。6カ国協議の再開につながる土台でもあり、日本政府は、北朝鮮の核問題の平和的解決のため、外交的な努力を強めるべきです。


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