2016年11月23日(水)
ベトナム国会 原発白紙撤回
安倍政権の計画見直し迫られる
【ハノイ=松本眞志】ベトナム国会は22日、日本とロシアが支援する南部ニントゥアン省の原発計画を白紙撤回する政府決定を承認しました。ベトナム政府は、2011年3月の東京電力福島第1原発事故で安全性に対する懸念が強まったことと、財政難で巨大公共事業を見直す必要から、ベトナム共産党指導部との協議の上で中止を決定。10日に国会に対して承認を要請しました。
今回の原発建設計画撤回の承認により、日本の安倍政権が「成長戦略」の一環として取り組んだベトナムでの原発計画が、見直しを迫られるのは必至です。
ベトナム原発をめぐっては、経済発展に伴う電力需要の高まりを背景に、10年に日本とロシアに向けて、それぞれ2基の発注を決めました。しかし、直後の日本の福島での原発事故を受け、安全性の検証の強化、津波を回避するために海岸地域から内陸部への建設予定地の変更をよぎなくされるなど、計画の見直しに時間を要し、建設着工にふみきることができませんでした。その後、当初20年に予定された最初の1基の運転開始は28年にずれ込む見通しとなり、安全対策の強化などで事業費も倍近くに膨らみ、財政負担の増大への懸念も強まっていました。