2016年10月4日(火)
コロンビア 「和平合意」国民投票
反対多数、停戦は維持
南米コロンビアで2日、政府と反政府武装集団コロンビア革命軍(FARC)による和平合意の賛否を問う国民投票の投開票が行われ、「反対」が僅差で「賛成」を上回りました。和平合意承認で52年に及ぶ内戦の終結に期待が高まっていた一方で、FARC戦闘員への恩赦などへの国民の抵抗感が予想外に強かったことが示された形です。(松島良尚)
和平合意の実施には至りませんが、政府、FARCとも、停戦を維持し、和平を実現する意欲を改めて示しています。
開票率99・7%で和平合意に賛成は49・8%、反対は50・2%。投票率は約38%と低率でした。
サントス大統領は投票結果の受け入れを表明したうえで、「この民主的な決定が安定を損ねてはならない」とし、すでに実現している「戦闘と敵意の停止は今後も効力を持つ」と強調。今後、ただちにすべての政治勢力と対話し、とりわけ国民投票で反対を掲げた政党の意見をよく聞き、和平が可能になる道を定めたいと述べました。
一方、FARCのロンドニョ最高司令官は交渉地キューバからの声明で、「FARCは和平の意思を保持し、未来を構築する武器としては言論だけを用いる」と表明しました。
政府軍とFARCの間の事実上の内戦では、22万人以上が犠牲となり、数百万人が強制移住を強いられました。2012年に始まった和平交渉は、中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)などが見守る中で進展し、9月26日に和平合意の調印式が行われたばかりでした。
合意は、農地改革や武装集団メンバーの政治参加、犠牲者への補償、麻薬撲滅などを柱としています。具体的には、政党への転換をめざすFARCに、選挙結果に関係なく18年から上下両院で計10議席を与えることや、戦闘員への恩赦などを含んでいます。
こうしたことから、内戦終結は歓迎しながらも、誘拐や爆弾テロを繰り返したFARCに譲歩しすぎだとの反発が広がり、ウリベ前大統領らが反対を主張していました。
1998年から02年までFARCとの交渉にあたったビクトル・G・リカルド元和平担当長官は、「国民投票での『反対』は和平への『反対』ではない。紛争終結が多数の支持を得られるように取りまとめる必要がある」と指摘しています。