2016年9月18日(日)
英国除きEU首脳会議
信頼回復へ「行程表」
難民問題・テロ対策など協議
【パリ=島崎桂】英国を除く欧州連合(EU)27カ国は16日、スロバキアの首都ブラチスラバで非公式の首脳会議を開きました。英国のEU離脱決定など加盟各国で反EU感情が高まる中、EUの信頼回復に向けた「行程表」を示し、市民の関心が高い難民問題やテロ対策を協議しました。
EUのトゥスク大統領は会議に先立ち、「英国のEU離脱は英国だけの問題ではない。欧州各地でみられる不安を示すものだ」と述べ、EUに対する市民の信頼回復を急ぐ考えを示しました。
各国は会議を通じ、過度・不測の難民流入を防ぐため、EUの国境管理を強化することで一致。EUが創設を決めた「欧州国境沿岸警備隊」を軸に、不法移民や人身売買業者の取り締まりを強めるとみられます。
テロ対策など安全保障分野では、EU各国が共同で軍事作戦にあたるための司令部設置や、防衛産業の強化に向けた基金創設を協議しました。
英国のEU離脱をめぐっては、同国が正式に離脱通告を行うまで一切の事前協議を行わない方針を改めて確認。英国が望むEU単一市場への残留には、労働者など人の移動の自由を条件とする従来の立場を維持しました。
このほか、高止まりする若年層の失業についても協議し、対策を講じました。
27カ国は今後も英国離脱後の体制や信頼回復策の協議を続け、各種政策を具体化していきます。EUの基礎となった欧州経済共同体(EEC)の設立を決めたローマ条約60周年を迎える来年3月にローマで首脳会議を予定しています。