2016年9月14日(水)
野党陣営監視 “人権配慮欠いた”というが
県警釈明 疑問だらけ
「捜査の特定人物」実在? 隠し撮り 他には?
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大分県警別府署の警官がこの夏の参院選の野党統一候補を支援する団体が入る建物敷地にビデオカメラを設置し、出入りする市民を隠し撮りしていた問題で、大分県警は9日、「人権についての配慮が全くなかった」などとする見解を示しました。隠し撮りされた建物に事務所を置く連合大分が8月に県警に送った公開質問状への回答書で明らかになったもの(別項に主な内容)。
連合大分に県警が回答
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文書で県警は「同所を撮影するだけの必要性及び相当性も認められない」「不適正な捜査」などとしています。しかし、警察による市民監視の疑惑をさらに深めるものとなっています。
回答では「特定の人物に対する容疑性は認められます」などと、「特定の人物」について“捜査”中だったと強弁しています。「特定の人物」がわかっているなら、別府署は「特定の人物」に的を絞った“捜査方法”をとらなかったのか疑問です。
また、被害を受けた建物には労組の事務所や生活相談所などが置かれています。仮に「特定の人物」がこの事務所に出入りしても、公選法違反の“証拠”にはなりません。
さらに、回答では隠し撮りの他にどんな“捜査”をしたのかを明らかにしておらず、「特定の人物」が実在するのかも疑問です。
他の労働組合関連施設への隠し撮りについては、否定していますが、候補者や政党の事務所について県警は言及していません。全容解明へ、さらなる追及が必要です。
連合大分の質問と県警の主な回答
【質問1】
カメラ設置の経緯と目的は? 他の労組関連施設に設置していないのか?
【回答】
「公職選挙法で選挙運動が禁止されている特定の人物が(中略)選挙運動をしていると疑われる複数の情報を入手したことから、この特定の人物の違法行為にかんする証拠を採取する目的」で設置し、撮影。「別府警察署では、同会館に出入りする全ての人物を撮影することはもちろん、入居する団体の活動を監視する目的はなく、また、ビデオカメラで撮影された人物等を特定する作業も一切行われていませんでした」「他の労働組合関連施設に対するビデオカメラ設置は、一切ありません」
【質問2】
県警はプライバシー侵害等について見解を示していない。どう考えるのか?
【回答】
「捜査に当たっては、人権の尊重に留意するように指導してきたところですが(同)今回の事案では、この点についての配慮が全くなされていなかった」