2016年9月10日(土)
北朝鮮 5度目核実験
国連安保理決議に違反
爆発の威力は最大規模
北朝鮮の朝鮮中央通信は9日、新たに開発した核弾頭の威力判定のための核爆発実験が「成功裏に行われた」と報じました。これに先立ち韓国軍は、北朝鮮の核実験場がある北東部の豊渓里付近で日本時間同日午前9時半ごろ、人工地震波を検知したと明らかにしました。日本の気象庁も人工的な揺れを同地域で観測し、地震の規模はM5・3を記録。日本政府は同日、北朝鮮が核実験を行ったと判断しました。
北朝鮮による核実験は2006年10月以来、5回目となります。今年に入って1月の「水爆」実験以来2回目という異常なペースで強行されており、累次の国連安保理決議などに明確に違反する蛮行です。今後、新たな安保理決議の採択や経済制裁など、国際社会による厳しい非難と北朝鮮のいっそうの孤立化は避けられません。金正恩(キムジョンウン)体制下での核実験は3回目です。9日は北朝鮮の建国記念日。「核保有国」であることを誇示することで現体制の求心力を高めて体制維持を図る狙いとみられます。
韓国国防省当局者によると、爆発の威力は10キロトン程度で、これまでで過去最大規模とみられます。
また、核実験を行った朝鮮核兵器研究所は、今回の実験で核弾頭を弾道ミサイルに搭載するために「標準化・規格化」を確認し、「小型化・軽量化・多種化された」核弾頭を「必要なだけ生産できるようになった」と表明。核兵器の実戦配備に向けて能力向上が進んでいると誇示しました。
安倍晋三首相は同日発表した声明で、「断じて容認できない」と厳しく非難。関連する国連安保理決議や日朝平壌宣言、6カ国協議共同声明にも違反するとして、「最も強い言葉で非難する」と述べました。
菅義偉官房長官は同日の記者会見で、独自制裁の強化に言及しました。また、政府は安保理の緊急招集に向けて各国との調整に入りました。