2016年9月7日(水)
マツダ車 エンストの危険
リコールもっと早く
1年半に不具合情報846件
自動車メーカー「マツダ」(広島県)がおこなった国土交通省へのリコール(回収・無償修理)届け出。エンジン制御コンピューターの不具合で、最悪、走行中にエンジンが止まってしまうエンストをする危険がありました。マツダには約1年半の間に、846件もの不具合情報が寄せられていました。もっと早くリコールできなかったのか…?(遠藤寿人)
リコール対象はSUV(スポーツ用多目的車)「CX―3」、コンパクト「デミオ」、ハッチバック「アクセラ」の3車種計11万7千30台。リコール制度は車に設計・製造上の欠陥がある場合、メーカーが国土交通省に事前に届け出を行い、車を回収・無償修理する制度です。
不具合情報得た
マツダ広報部によると、同社が最初の不具合情報を得たのは2015年2月。846件のうちエンストが30件起きていました。どれも再始動して事故には至りませんでした。高速道路でのエンストもありました。急激に車速が落ちることはなく再始動できました。その他の情報はエンジンからの振動がある、エンジン出力が弱いなどがあったといいます。
846件、一月あたり約45件の不具合情報がありながら、なぜリコールできなかったのか…? 同社は「原因究明に時間を要した」としか説明しません。
自動車の不具合情報は国土交通省にも報告されています。ユーザーから直接情報を収集する「自動車不具合情報ホットライン」、メーカーから報告される、事故・火災情報と四半期ごとに報告される不具合情報などです。
マツダの件について同省リコール監理室は今年の2月初め、エンジンの出力不良の情報を「ホットライン」で確認。マツダに事実確認し、お互いやり取りをしながらリコールに至ったと説明。リコール時期が早いか遅いかについてはコメントしないとしています。
内閣府の消費者委員会は「自動車リコール制度に関する建議」(10年8月)でリコール届け出のタイミングについて「すみやかに実施すべき旨が通達で規定されているだけで、適切な対応がされなくても特段のペナルティもない」と指摘。「届け出が遅れている間に不具合が発生している事案もある」とし、届け出までに長期間を要している事案については、「長期化の要因を確認のうえ是正を促す等、より一層注視する必要がある」と国交省に要望しています。
1回ストップを
消費者問題に詳しい中村雅人弁護士は「幸いに死亡事故などがなかったが、エンストは追突事故や交差点の渋滞などを起こす。踏切でエンストしたら大事故になりかねない。走っている途中のエンストは恐怖だ。人の命にかかわるようなリコールは、きっちり原因究明をしなくても、1回ストップをかけるべきだ。800件もの症状が出ているならもっと早めの対応が必要だったのではないか」と話します。