2016年9月7日(水)
民主・本土派が30議席
香港議会選 「親中派」は3議席減
【杭州(中国)=小林拓也】4日投票の香港立法会(議会、定数70)選挙は5日夜に開票結果が出そろい、普通選挙などをめざす「民主派」と、香港を本土とみなす急進的勢力「本土派」が合わせて30議席を獲得し、重要議案を否決できる3分の1超(24議席以上)を引き続き確保しました。業界ごとの間接選挙枠(定数35)で強い「親中国・親政府派」は過半数を占めたものの、3議席減の40議席にとどまりました。
香港メディアによると、本土派など中国を批判する勢力が6議席を得て、影響力が拡大。6日付の香港紙・明報の社説は、「香港の政治構図が変わった」と伝えました。
中国国務院(中央政府)香港・マカオ事務弁公室の報道官は5日、「立法会内外でのいかなる形式の『香港独立』活動に断固反対する」との談話を発表し、本土派への警戒感を示しました。
今回は、2014年の行政長官選挙制度の民主化を求める「雨傘運動」後、初めての立法会選挙で、投票率は過去最高の58%を記録。同運動に参加した羅冠聡氏(23)が史上最年少で当選するなど、若い世代の政治参加も目立ちました。羅氏は香港メディアに、「雨傘運動は香港人を政治参加に目覚めさせた。選挙結果は若者の香港の前途への懸念を示した」と語りました。
香港では今年、中国共産党に批判的な書籍を扱う書店関係者が失踪するなど、中国中央への疑念や不安が高まりました。香港選挙管理委員会が一部本土派の立候補を認めなかったことも、有権者の怒りを呼びました。
来年3月には香港行政長官選挙があり、7月には中国返還20周年を迎えます。中国中央からの締め付けが強まる中、今後の香港情勢に注目が高まりそうです。