2016年9月2日(金)
主張
防衛省概算要求
戦争法を推進する軍拡やめよ
防衛省は2017年度軍事予算の概算要求について、過去最大の5兆1685億円とすることを決めました。史上初めて5兆円を突破した16年度当初の軍事予算からさらに1143億円も上積みしようとするものです(2・3%増)。安倍晋三政権が年末に決定する17年度当初予算案で軍事予算が16年度に続き5兆円を突破し、過去最大を更新する可能性が大きくなっています。重大なのは、憲法9条を踏みにじる戦争法の本格運用に向け、自衛隊を「海外で戦争する軍隊」に改造する方向をいっそう際立たせていることです。極めて危険な軍拡要求です。
2年連続の5兆円超狙う
軍事予算は、第2次安倍政権の発足(12年末)によってそれまでの減少傾向から増額に転じ、当初予算で13年度から4年連続増額を続け、16年度には5兆541億円に膨れ上がりました。防衛省の概算要求の増額は今回で5年連続となり、安倍政権下での軍拡をさらに加速させようとするものです。
17年度の軍事予算は、安倍政権が決定した「中期防衛力整備計画(14〜18年度)」(中期防)の4年度目に当たります。防衛省は今回の概算要求について、中期防に基づき「統合機動防衛力の構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施」するためとしています。
「統合機動防衛力」とは、陸・海・空自衛隊が一体となって、海外派兵をはじめ多様な軍事作戦を迅速かつ継続的に展開することを狙いにしています。今回の概算要求でも、「島しょ部に対する攻撃への対応」を口実にして、「迅速な展開・対処能力の向上」が強調されています。
具体的には、海外への上陸侵攻作戦を主な任務にする米海兵隊をモデルにした「水陸機動団」の創設に向け、引き続き垂直離着陸機V22オスプレイ(4機、393億円)や水陸両用車AAV7(11両、84億円)の取得、「おおすみ」型大型輸送艦の改修(12億円)を計上しました。現有の輸送機よりも航続距離が飛躍的に向上したC2輸送機(3機、667億円)や、戦車に匹敵する破壊力を持ちC2輸送機などで空輸可能な16式機動戦闘車(33両、237億円)などの取得も盛り込みました。
最新鋭の戦闘機F35Aの取得(6機、946億円)を継続し、米空軍と航空自衛隊の戦闘機部隊が配備されている三沢基地(青森県三沢市)に空自の「臨時F35A飛行隊」(仮称)新設を計画しているのも重大な基地機能強化です。
新たな空中給油機KC46A(1機、318億円)を導入し、戦争法に基づく米軍機への給油も実施しようとしています。
在日米軍への「思いやり予算」も、1946億円(16年度当初予算比26億円増)を求めています。米側の減額拒否圧力を受けた露骨な大盤振る舞いです。
「軍学共同」加速許されぬ
防衛省が、大学や研究機関などに対し武器開発に応用可能な研究費を提供する「安全保障技術研究推進制度」に、16年度当初予算の6億円から18倍増の110億円を要求したのも大問題です。大学などを軍事研究の下請け機関に変質させるものとして許されません。
「海外で戦争する国」づくりを進める安倍政権の下で加速する軍拡にストップをかける世論と運動を広げていくことが必要です。