2016年9月1日(木)
ミャンマー内戦終結めざし 少数民族と和平会議
潘国連事務総長も出席
【ハノイ=松本眞志】ミャンマーの首都ネピドーで31日、国民民主連盟(NLD)主導の政権と少数民族組織とのあいだで、「21世紀のパンロン会議」が開幕。数十年に及ぶ内戦を終結させ、全少数民族との和平実現を目的にした話し合いが始まりました。
NLD政権のアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は、全少数民族との和平実現を追求。演説で「われわれが国民和解と国の団結を達成できない限り永続的な平和国家を樹立することは決してできない」と述べ、全当事者の協力を訴えました。
会議には国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長も出席。30日には、政府側と少数民族代表にたいし「あなた方は平和と国民和解に向けて一歩前進した。それをさらに強めて拡大し、強固なものにすることが必要だ。これは国際社会の真の期待を担っている」と会議の重要性を強調し、両者の「忍耐と決断、妥協の精神」を祝福するとのべました。
地元紙ミャンマー・タイムズによると、潘氏は、NLD政権がラカイン州の「ロヒンギャ」と呼ばれるイスラム教徒の市民権を擁護して、問題解決に努力することを誓ったとのべています。
ミャンマーでは、最初の「パンロン会議」の失敗後、軍政下でビルマ族優位の政治が半世紀以上も続き、反発する少数民族との内戦が長期化しました。内戦勃発の1948年以降、13万人以上が犠牲になったともいわれ、経済が停滞する要因ともなりました。米国、中国やインドなど周辺国の影響力も指摘されています。
2011年に成立したテイン・セイン政権下では15年10月、一部の少数民族との和平が実現しましたが、軍への不信、交渉参加条件の不一致などで全民族との停戦にいたらず、現在でも一部で戦闘が継続しています。
パンロン会議 1947年の英国からの独立直後、当時のアウン・サン将軍(スー・チー氏の父)が、民族の平等に基づく連邦国家実現をめざしてシャン州パンロンで開いた会議。