2016年8月22日(月)
2016米大統領選 迷走、混乱続くトランプ陣営
選対幹部が相次ぎ交代
過激発言影響で支持率低下
【ワシントン=島田峰隆】米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏の陣営でこの間、選挙戦略をめぐる対立で幹部が相次いで交代するなど、混乱と迷走が目立っています。大統領候補に正式指名された後も止まらないトランプ氏の過激な発言が影響して、支持率も伸び悩んでいます。
トランプ氏は19日、選対本部議長のポール・マナフォート氏の辞任を発表しました。米メディアによると、マナフォート氏は、トランプ氏に不満を持つ共和党の有力政治家との橋渡し役を務め、トランプ氏の演説を党内主流派も受け入れられる穏健な内容にするよう努力してきました。
しかし束縛を嫌うトランプ氏と衝突し、対立を深めていったとされます。米メディアは事実上の更迭だと伝えています。
陣営内ではマナフォート氏と対立していた選対本部長のルワンドウスキ氏が6月に解任されたばかり。2カ月間に選対幹部が2人も交代する異例の事態になりました。
最近の世論調査では、過激な発言や暴言も影響して、トランプ氏は支持率で民主党の候補、クリントン前国務長官に軒並み4〜5ポイントの差をつけられています。特に7月の民主党大会でトランプ氏を批判した戦死米兵の両親を中傷する発言をして以降、トランプ氏の支持率が下がりました。
トランプ氏は18日、「個人的な痛みを与えてしまったかもしれない発言をしたことを後悔している」と述べました。しかし女性蔑視、イスラム教徒敵視、障害者への侮辱など数々の暴言のどれをどう後悔しているのかは明言しませんでした。
トランプ氏は17日、右派論客として知られるスティーブン・バノン氏を選対最高責任者に起用し、世論調査専門家のケリーアン・コンウェイ氏を選対本部長に昇格させました。コンウェイ氏は18日、CNNテレビで「トランプ氏がありのままでいられるようにしたい」と語りました。
バノン氏らの起用によりトランプ氏の過激な発言と党内主流派との緊張関係は今後も続く見込みです。
レーガン元大統領の選対を務めたエド・ロリンズ氏はワシントン・ポスト紙に、トランプ氏が暴言で人気を得て党内に混乱が広がる根本的な背景には「共和党がウォール街(金融業界)や大企業のための“商工会議所党”になって草の根の共和党員を無視し、魅力を失ったことがある」と指摘しました。