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2016年7月28日(木)

最賃引き上げ平均24円

中賃審が目安 地域差拡大

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 中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は27日、2016年度の最低賃金(時給)引き上げの目安を、人口を加味した全国加重平均で24円増額としました。目安どおりに決まれば、現在の平均798円から822円となります。


 昨年の平均18円アップを上回り、目安を時給で示すようになった02年以降最大の上げ幅にはなりますが、若者や労働組合が求めていた「今すぐどこでも1000円にして、1500円をめざす」という要求とは大きくかけ離れています。

 目安は地域ごとにA〜Dの4ランクに格差がつけられており、Aは25円、Bは24円、Cは22円、Dは21円。現在の最高額は東京都の907円、最低額は鳥取、高知、宮崎、沖縄各県の693円です。今回の目安で、最高額と最低額の差が214円から218円に開きます。600円台の県はなくなりますが、700円台が38県残ります。

 政府や経団連も含めた合意目標では、できるだけ早期に最低800円にして、20年までに平均1000円とすることになっています。安倍政権の目標「年率3%程度」では、平均1000円到達は23年までずれ込みます。

 実際の引き上げ額を決める都道府県の地方審議会に向け、全国で大幅上積みを求める運動がはじまります。

最低賃金 引き上げ額 地方審議会で議論へ

「目安」超える上積み必要

 今年の最低賃金(時給)引き上げの目安が、人口を加味した全国加重平均で24円とされました。安倍政権が目標にした「年率3%程度」の引き上げに合わせたものですが、順調に推移しても平均1000円に到達するには7年後の2023年までかかります。

中小に直接支援を

 安倍政権の下で、非正規雇用労働者が2012年から15年にかけて167万人も増加しました。非正規比率は37・5%になり、公表されている05年以降、最高です。

 中央最低賃金審議会(中賃審)小委員会の議論で、使用者側委員は、個人消費の伸び悩みや世界経済の不透明感を引き合いに、最賃引き上げを抑制するよう主張。中小企業支援策について「政府の支援施策も不十分である」ことを抵抗の口実にしました。

 塩崎恭久厚労相は、6月14日の審議会で諮問した際、中小企業支援は「生産性向上に焦点をあてたもの」にするとして、社会保険料減免や賃金助成などの直接支援には否定的でした。

 中小企業が利益を出せずに苦しんでいるのは、労働者の実質賃金が下がり続けるなか消費税が増税されて、消費が冷え込んでいることと、大企業が下請け単価を抑えていることが大きな原因です。政府が中小企業に直接支援を行うとともに、大企業は巨額な内部留保を活用して適正な下請け単価にすることで、中小企業が賃上げできる条件をつくる責任があります。

一律千円以上提案

 今回の目安で地域間格差が218円に広がりました。チェーン店などでまったく同じ仕事をしても、フルタイムで月額3万7000円以上の差になります。

 最賃の低い地域から人口流出が起こり、地方を疲弊させています。全国を4ランクに分け、格差を広げ続ける現在の「目安」方式は、いよいよ行き詰まっています。

 欧州では全国一律で1000〜1400円が当たり前です。米国ではファストフード労働者の賃上げ運動が広がり、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルで最賃時給15ドル(約1590円)への引き上げを決めています。

 日本共産党は全国一律制度を確立し、「今すぐどこでも1000円にして、1500円をめざす」ことを提案しています。

 全労連は全国各地の最低生計費調査でどこでも1500円程度が必要なことを明らかにして、今すぐ全国一律1000円以上を求めています。若者グループ「エキタス」が最賃1500円を求める運動を広げています。

 これから各都道府県の地方審議会で議論がはじまります。ここでの審議が引き上げ額を決定します。目安から上積みを求めるたたかいはこれからです。

 (田代正則)


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