2016年7月22日(金)
南スーダンに部隊派遣
アフリカ連合承認
大統領派が抗議デモ
大統領派と副大統領派との間で戦闘が続く南スーダンで戦闘の平定のため、「介入旅団」のようなアフリカ諸国の部隊を派遣するとの提案が浮上しています。南スーダンのキール大統領は反発しており、20日には首都ジュバで、抗議デモが行われました。
(伊藤寿庸)
ルワンダの首都キガリで18日まで開かれていたアフリカ連合(AU)首脳会議は、東アフリカの諸国などが決定した数千人規模のアフリカ人による部隊派遣の提案を承認しました。
スメイル・チェルギ・アフリカ連合委員会(AUC)平和安全保障委員は「国連内でアフリカ人部隊の配備を促進しようとする案があり、首脳会議で承認された」と述べました。同氏は、同部隊が強力な「平和強制」の任務を帯びるだろうと指摘。すでにコンゴ民主共和国で武装集団の掃討など戦闘任務に従事している「介入旅団」のような部隊を想定していると述べたと報じられています。
南スーダンで和平の仲介を行ってきた政府間開発機構(IGAD、本部ジブチ、東アフリカ8カ国で構成)は16日、AU議長や南アフリカ、ナイジェリア、ルワンダの首脳級、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が参加した拡大首脳会議を開催し、南スーダン情勢に関する声明を採択しました。同声明は、南スーダン派遣団(UNMISS)の強化に向け、「主要な施設や民間人を保護し、ジュバの平定を行う地域諸国による保護部隊の配備を含む、改定された任務を持ったUNMISSの派遣延長」を国連安保理に求めるとしています。
一方、キール大統領は、こうした軍事介入の動きに強く反発。20日に大統領派が主催した追加部隊派遣に反対するデモには、数百人のデモ隊がプラカードを持ち参加しました。
キール大統領のアテニー報道官は声明で「AUの派兵承認は主権の侵害であり、受け入れられない」と表明。「南スーダン政府の許可なしに外国軍が入ることは侵略とみなされるだろう」と付け加えました。
ファルハン・ハク国連事務総長副報道官は19日の記者会見で、南スーダン情勢が依然として緊張していると指摘。「国連要員に対する嫌がらせやUNMISSの活動への妨害が強まっている」と述べました。