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2016年7月21日(木)

トルコ 粛清広がる

教員2万人の免許取り消し

国際人権団体 「法の支配」に懸念

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 トルコでは、クーデター未遂事件以来エルドアン政権が行っている粛清が、教育省など政府省庁に拡大しています。政権がクーデターの背後勢力と名指しする「ギュレン運動」に関与したというのが理由。国際人権団体などはトルコでの「法の支配」に懸念を表明しています。

 (伊藤寿庸)


 トルコ政府は19日、教育省職員1万5000人を解任し、私立学校の教師2万1000人の教員免許を取り消しました。全国の大学の学長でつくる会議も、クーデターを非難するとともに学部長1577人全員の辞職を命じました。

 政府は、失敗に終わったクーデターに、米国在住のイスラム教指導者ギュレン師が率いる「ギュレン運動」が関与していたと非難。関係者の各分野での追放を進めています。ギュレン師はクーデター計画への関与を否定しています。

 ユルドゥルム首相は同日議会で、「このテロ組織は、もはやいかなる国の手先でもありえない」として、ギュレン運動を「テロ組織」と呼ぶとともに、「彼らを根絶やしにする」と述べました。

 また放送規制当局は、ギュレン運動に近いとされるラジオ・テレビ24局の放送免許を取り消しました。

 これまでに警官や知事を含む内務省の公務員8777人のほか、財務省1500人、宗教局257人、家族社会省399人、エネルギー省300人、首相府257人、情報機関100人の職員が解任されています。

 軍、警官、判事などの解任はすでに計1万8000人規模に達しています。

 欧米諸国の一部首脳らは、エルドアン大統領がクーデター関与の疑いで進めている粛清が、政権基盤の強化と反対勢力の弱体化のために利用されているのではないかとの懸念を示しています。ザイド・フセイン国連人権高等弁務官は、判事や検事の大量停職処分に「深刻な警戒感」を表明しました。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは18日の声明で、「トルコ当局に対し、必要な捜査を行うにあたり自制と法の支配の尊重を示すよう求める」と述べました。

 トルコ外務省は、政府の措置に対するいかなる批判もクーデターへの支持に等しいとして、批判を拒否しています。

 ギュレン運動とは 1970年代にトルコ北西部のイスラム教指導者だったフェトフラ・ギュレン師が始めた運動。全国に私立学校や学習塾、寮などを展開。それが資金源となるとともに、卒業生が司法、警察、金融などの分野に進出し影響力を広げました。

 穏健イスラム運動との評価とともに、カルト教団との批判もあります。かつてはエルドアン氏と同盟関係にあり、選挙では公正発展党(AKP)の集票組織となり、政府から保護を受けていました。

 2001年にAKPが国会で安定多数を占めると、関係は冷却化。2003年末にエルドアン政権の大規模汚職疑惑が発覚すると、同氏はギュレン運動によるでっち上げだとして締め付けを強化。トルコ政府はギュレン運動を「テロ組織」に指定し、1999年から米国に在住するギュレン師の引き渡しを米に求めてきました。


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