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2016年7月18日(月)

韓国・慶尚北道 米軍迎撃ミサイルの配備

地元住民強く反発

民家から500メートル 農作物の風評被害懸念

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 韓国国防省が米軍の地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD〈サード〉)」の配備先とした韓国南東部・慶尚北道星州郡(町村に相当)で、地元住民や郡守(首長)らが配備に反対する抗議行動を繰り広げています。現地からの報道によると、配備が発表された13日以降、住民は集会や座り込みを継続。15日の政府による説明会では、黄教安(ファン・ギョアン)首相に激しい言葉を浴びせるなど強く反発しています。

 星州郡庁舎前で行われた説明会で黄首相は、「(北朝鮮が)連日のように核で挑発をしている。国民が危険な状況に置かれ、配備せざるを得なかった」と語り、理解を求めました。

配備撤回を要求

 一方、金恒坤(キム・ハンゴン)郡守は、事前に政府側から説明や協議がなかったことに言及し、「なぜ、一方的に犠牲を強いるのか」と非難。3000人近く集まった住民は「安全対策はどうなっているのか」「私たちも国民だ。どうして星州なのか納得いかない」などと述べ、配備撤回を要求しました。説明会は30分で中断。黄首相が乗り込んだ車を住民が6時間以上にわたり取り囲む事態も発生しました。

 米韓両国が進めるTHAADは、米国の最新迎撃システムで、高性能の「Xバンドレーダー」や迎撃ミサイルで構成されます。2014年6月、米韓連合司令官が朝鮮半島へのTHAAD配備の必要性を提起。北朝鮮の4回目の核実験が行われた1月、朴槿恵(パク・クネ)大統領が配備の検討に言及しました。

協議開始5カ月

 韓国政府は3月に米軍側と協議を開始。今月8日、両政府は共同声明を発表し、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対抗するため配備を決定したと発表しました。協議開始からわずか5カ月というスピード決定です。

 配備先の星州郡は人口4万6000人余。農村地帯でマクワウリの産地として知られます。農業人口は約1万1000人。民家から500メートルしか離れていない場所への配備や、電磁波による農作物への風評被害を心配する声があがっています。

 13日の会見で記者団から、住民が同意しなかった場合を問われた国防省の柳済昇(リュ・ジェスン)国防政策室長は、配備先の変更は明言せず、「同意が得られるよう理解を求める努力をしなければならない」と述べました。

 レーダーの探知範囲は1000〜2000キロとされ、韓国国内に設置した場合、中国やロシア国内まで探知が可能。韓国政府は「北朝鮮以外の第三国には向けていない」と説明していますが、中国とロシアは、配備に反対を表明しました。

 また、一部野党が配備には国会の批准・同意が必要だとしたことに対して、外務省報道官は「該当しない」との見解を示しています。(栗原千鶴)


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