2016年7月18日(月)
南スーダン 首都治安 急速に悪化
各国・機関が要員国外退避 陸自は駐屯を継続
|
南スーダンの首都ジュバで10日に勃発したキール大統領派とマシャール副大統領派の戦闘で現地の治安情勢が急速に悪化し、各国・国際機関は対応に追われています。日本もジュバに駐在する邦人約70人のうち、大使館員4人とJICA(国際協力機構)関係者47人がすでに退避しました。
独は大使館閉鎖
国連南スーダン派遣団(UNMISS)は14日、派遣団や国連関連機関の一部要員の国外退避を決めました。住民保護施設の運営などの重要な作戦は継続するとしています。
UNMISSに参加する陸上自衛隊約350人は駐屯地が置かれている国連施設にとどまったままです。
現地メディアによると、ドイツ空軍機は13日、ジュバのドイツ人、オランダ人など民間人約200人の避難を完了。ドイツ大使館員も全員退避させ一時閉館の措置をとりました。オランダの大使館も最小限の人数を残して職員を帰国させました。
衛星放送アルジャジーラによると、隣国ウガンダは、自国民救出のためとして、武装護衛を付けた軍のトラック50台を越境させました。キール大統領から入国の許可を得ているといいます。
政府軍の略奪も
またジュバにある世界食糧計画(WFP)の最大の倉庫は略奪にあい、避難民22万人の1カ月分の食料と栄養食品が奪われたといいます。スーダン・トリビューン紙は、略奪が政府軍によるものだと報道。現在WFP職員は現場を訪れることができておらず、UNMISSの軍事要員に現場の確認を依頼、大規模な略奪を確認したといいます。
国連の潘基文(パンギムン)事務総長は14日、ルワンダのキガリで南スーダン大統領特使と会談し、現在の状況に「深い懸念と失望」を表明。両派にジュバの非武装化を求めました。
他方、大統領派部隊からの攻撃を逃れて国外に滞在しているマシャール副大統領は15日、事件後初めてアフリカ向けのBBCの番組で見解を表明しました。
滞在国を明らかにしなかったマシャール氏は、大統領府でキール大統領と会談している最中に戦闘が起こったことについて、「私を殺すことを狙ったものだ」との見方を示しました。首都への帰還については、外国軍が首都に駐留し、治安の責任を取る状況が生まれることが条件だと述べました。