2016年7月2日(土)
国連 テロ対策再検討会議
非軍事協力で連帯
事務総長 「人権と法の支配」強調
【ワシントン=洞口昇幸】国連の「地球規模対テロリズム戦略」を再検討する国連総会が6月30日、ニューヨークの国連本部で始まりました。開会にあたって演説した国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、テロリズムという「現代の大惨劇」の対処に国際社会が決意を固め、団結して行動するよう呼び掛けました。
同戦略は2006年9月の国連総会で採択され、テロリズムの拡散の防止やテロリズムがまん延する社会状況の対処など、非軍事的な分野での地域的・国際的な協力を強化する内容です。再検討会議は2年ごとに開かれ、今回が5回目、2日間の予定です。
潘氏は演説で、トルコ・イスタンブールの国際空港で起きた自爆テロ事件について「この攻撃はわれわれすべてに対し、最も基本的な価値観に対し、連帯と団結に対し向けられたものだ」と非難しました。
採択されて10年となる「戦略」が「予期できない難題に直面してきた」と指摘。▽最新の情報技術で有毒な過激思想が広まっている▽新たな紛争の防止が一部にとどまっている▽武器が容易に入手できる▽国境を超えて戦闘員が出入りしている▽メディアの注目が高まっている―ことを挙げ、「テロリストが広大な領域の資源や住民を支配する環境が作り出されている」と過激組織ISを念頭に指摘しました。
軍事的手段にもふさわしい役割はあるとしながらも、各国は「国連憲章と国際人道法にもとづく誓約」を果たすべきだと強調。人権や法の支配を守ること、あらゆる差別を許さないことも対テロに取り組む上で重要だと述べ、「戦略」の「包括的な実行の時は、まさに今だ」と強調しました。