2016年7月1日(金)
フィリピン ドゥテルテ大統領就任
「国際条約順守・和平推進」
【クアラルンプール=松本眞志】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ新大統領(71)が30日、首都マニラのマラカニアン宮殿で行われた宣誓式典で同国第16代大統領に就任しました。アキノ前大統領も同席した式典で就任後初の演説をおこない、「国民のつぶやきに耳を傾け」、国が直面する「政府への信頼の失墜」の克服に取り組んでいくと述べました。
ドゥテルテ氏は、現存する諸外国との条約を順守し、国際的義務をはたしていくと宣言しました。
同時に、「新政権は調印されたすべての和平合意を履行する」と語り、政府と対立してきた南部ミンダナオ島のイスラム武装勢力やフィリピン共産党・新人民軍との和平実現に積極的に関与していく姿勢を示しました。
ドゥテルテ氏はまた、6年間の任期中に、犯罪に対する「無慈悲で持続的な」たたかいを挑むとし、汚職についても「容赦することはない」と強調しました。同氏の犯罪撲滅プログラムには、死刑の再導入、治安組織に犯罪者を射殺する権利の付与、麻薬密売人摘発協力者に対する報奨などが含まれています。
演説では、自らの手法に「違法すれすれ」などの批判があることを認めた上で、「法律家として大統領の権力の限界は知っている」として、法の順守を約束しました。
ドゥテルテ氏は、今年5月の大統領選挙でアキノ氏が推薦した後継候補などを破り、当選。アキノ政権時代に経済成長率が伸びたにもかかわらず、貧困や犯罪が広がり、都市部の交通渋滞などを解決できなかったと、政治・社会の現状に不満を抱く多くの国民の支持を集めました。
この日の演説では、中国との領有権を争う南シナ海域をめぐる問題にはふれませんでした。