2016年6月16日(木)
主張
舛添都知事の辞任
都民への説明責任残っている
数々の「政治とカネ」をめぐる疑惑で不信任を突き付けられていた舛添要一東京都知事が、不信任案の可決が予定されていた都議会の直前、辞任することをようやく表明しました。都民の世論に追い詰められた結果です。都知事は辞めることになっても、巨額の海外出張費問題や公用車の私的使用、政治資金の不正使用・虚偽報告などの疑惑は残っています。舛添氏は引き続き自らの疑惑を解明する責任を果たすべきです。猪瀬直樹前知事、舛添知事と2代にわたって「政治とカネ」の疑惑で知事が辞任する中で、都民本位の清潔な都政の実現がいよいよ課題です。
不誠実の一語に尽きる
一連の疑惑が発覚し始めてから2カ月余り、舛添知事の態度は不誠実の一語に尽きるものでした。
最初に日本共産党などが追及した巨額の海外出張費問題では、舛添氏が海外出張のたびに航空機のファーストクラスや高級ホテルのスイートルームを使って豪華旅行を繰り返しているという指摘に、知事は当初、東京都知事だから当たり前だと言わんばかりの態度でした。次いで明らかになった都庁の公用車を使って毎週のように神奈川県湯河原町の別荘に通っているという指摘にも、知事は平日の仕事のためには週末の休養は必要だと開き直りました。豪華旅行や別荘通いの見直しを口にしたのは都民の批判が高まってからです。
その後週刊誌などで報道された政治資金の不正支出問題でも、舛添知事は満足な説明さえしようとせず、ようやく開いた記者会見では「第三者」の弁護士に調査してもらうとしただけで、説明を拒否したのです。都議会の代表質問の前日になって公表された調査報告なるものは、家族で泊まったホテルの代金を政治資金に計上したのは知人との会合を持ったためだといいながら、相手の氏名さえ明らかにしない不十分なものです。都議会の代表質問や一般質問、集中審議を通じても口先で「反省」をいうだけで事実を明らかにしようとしない舛添氏の態度に、都民の批判が沸騰したのは当然です。
日本共産党などが繰り返し、事実を明らかにして辞任をと迫っても、舛添氏は知事の座にしがみ続けてきました。ついには与党の自民、公明もかばいきれないほど都民の怒りは高まり、都議会の全会派で不信任案が可決されようとしていた矢先、舛添氏が辞意を表明したのです。辞任すれば追及を免れるというのが舛添氏の思惑だとすれば、それこそ許されません。
都民の血税を浪費し、政治資金についても私的使用や虚偽の報告を繰り返していた疑惑は政治家にとって絶対にあいまいにできないものです。辞意表明したとしても百条委員会などあらゆる機会で説明責任を果たさせるべきです。
問われる自公の重大責任
前任の猪瀬知事が5000万円に上る選挙資金の不正疑惑で辞任し、後任の舛添知事も「政治とカネ」の疑惑で辞任したのは重大です。疑惑の徹底究明は腐敗政治の根を断つためにも不可欠です。
とりわけ、舛添氏を推した自民、公明の責任は重大です。知事選では安倍晋三首相、山口那津男代表がそろって応援に立ちました。都政の刷新のためにもその「製造者責任」はあいまいにできません。
疑惑の解明と清潔な都政実現へ力を尽くすことが求められます。