2016年6月11日(土)
南シナ海「宣言履行」声明へ
ASEAN・中国 高官協議で合意
【ハノイ=松本眞志】東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国は9日、ベトナム北部クアンニン省で、南シナ海行動宣言(DOC)履行に関する高官協議を開き、DOCの全面的な履行を目指すASEAN・中国の共同声明を早期に発表することで合意しました。
中国国営メディアによると、共同声明は「DOCの全面的かつ実効的な履行に関する外相共同声明」となる予定で、今回の高官協議で「早期にコンセンサスに達するよう努力することで合意した」としています。
一方、ベトナム国営メディアによると、9月にラオスで開かれるASEAN・中国首脳会議までに、「海上での緊急事態発生時に対応するASEAN・中国政府高官間のホットラインの運用開始」と「南シナ海での偶発的衝突を防止する『海上衝突回避規範』に関する共同声明」を実現させることで合意しました。
高官協議は、DOCを法的拘束力のある文書に格上げした南シナ海行動規範(COC)の早期締結についても協議しました。
ベトナム国営メディアによると、協議の中心は、▽DOCの第4条(紛争の平和的解決)▽第5条(事態を激化させる行動の自制)▽第6条(協力の促進)▽第10条(COC締結)―の履行。今回、「COCの性格について初めて協議した」といいます。
COC締結については、ベトナムのレ・ホアイ・チュン外務次官が、早期締結に向けて期限を切って取り組むべきだと主張しました。
中国国営メディアによると、COCの協議では、合意できた内容から順次履行する「アーリーハーベスト」方式を可能な限り早く実践することや、外務省高官間のホットラインの運用を促進することを確認。「海上衝突回避規範」の効果的な活用についても議論しました。