2016年6月10日(金)
2016 米大統領選
サンダース氏 運動継続の背景
「大変革を」 声やまず
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米大統領選で、ヒラリー・クリントン前国務長官が民主党候補の指名獲得を確実にしたとされる中、バーニー・サンダース上院議員は、引き続き選挙戦を通じて米国の「政治的大変革」を目指す運動を継続する構えです。背景には、これまで22州の予備選・党員集会で勝利するなど、経済の不平等の是正を訴えるサンダース氏への支持が根強いことがあります。(サンフランシスコ=洞口昇幸 写真も)
経済的不平等の是正 根強い支持
予備選を翌日に控えた6日、カリフォルニア州サンフランシスコの海岸沿いで、サンダース陣営が屋外集会を開きました。風光明媚(めいび)な海岸を歩いていると、会場の入り口が見えないほど遠くから続く集会参加者の長い行列が見えました。
その中の1人、ナタリア・ペトリノビッチさん(19)は、大学に行きたいけれどもお金がなく、飲食店で働いて教育資金をためています。サンダース氏に公立大学の授業料無償化の願いを託します。
「多くの人は『変革』を望んでいます。現在のクリントン氏の姿勢では不十分です」
18歳から33年間、欠かさず選挙で投票し、多くの政治家を見てきたというパトリック・ブライアントさん(51)は、「サンダース氏は最も誠実な人物。彼は特定の利益集団のためではなく、国民のために人権や財政の問題でたたかい、戦争にも反対してきました」と言います。
他の既存政治家にはとても不満で、「クリントン氏も既存政治家の一員に見えて、信頼できない」。
屋外集会には1万人以上が参加。ロック音楽が流れる中、登場したサンダース氏を、「信じられる未来へ」と書かれたプラカードを掲げた聴衆が熱狂的な歓声で迎えました。
サンダース氏は「生みだされる富の57%が富裕層上位1%に渡っていることを、われわれは許すわけにはいかない」と強調。経済的不平等と、富裕層の献金で政治が買収されている現状を変えるための「たたかいは続く」と訴えました。
屋外集会の帰り道、会社員のアレックス・クロイドさん(32)は語りました。
「米国は今、『大変革』を必要としています。ヒラリー氏が指名獲得を確実とした後も、そのことがさまざまな面で問われることになると思います。サンダース氏の運動にはそういう状況を作り出した意義があります」