2016年6月7日(火)
米中戦略・経済対話 始まる
中国主席 「違いを建設的に管理」
米国側 南シナ海問題けん制
【北京=小林拓也】第8回米中戦略・経済対話が6日、北京市内で始まりました。開幕式で演説した中国の習近平国家主席は、南シナ海問題などを念頭に、「意見の違いを対抗の理由にしてはいけない。意見の違いはすぐには解決できなくとも、建設的態度で管理すべきだ」と訴え、米中協力強化の必要性を強調しました。
習主席は「双方が相互尊重と平等の原則に従い、共通点を見つければ、両国関係は大きな妨害を避けることができる」と指摘。「広大な太平洋は各国が競争する場ではなく、協力のプラットホームであるべきだ」と語りました。
また、米中投資協定の早期締結に全力を挙げると表明。気候変動、サイバーテロ対策、軍事などの分野で交流と協力を深め、地域と世界的問題で意見交換と協調を強めようと述べました。
米中戦略・経済対話は毎年1回開かれ、安全保障や政治、経済課題など幅広い問題を話し合います。米国からケリー国務長官とルー財務長官、中国から汪洋(おうよう)副首相と楊潔篪(ようけつち)国務委員が代表として参加し、7日まで開かれます。
今回の対話では、フィリピンが提起した仲裁裁判の判断が月末にも出される南シナ海問題が大きなテーマになる見通し。ケリー長官は開幕式で、南シナ海問題の外交と対話による解決を呼びかけた上で、「国際基準と国際法により解決すべきだ」と、仲裁裁判を認めない中国をけん制しました。
戦略・経済対話は、オバマ米政権成立後の2009年から現在の形で定着。来年任期を終えるオバマ政権では最後の対話となります。
オバマ大統領は、開幕にあたり書面でのあいさつで、「平和で安定した中国が世界で役割を発揮することを歓迎する。米中が世界的挑戦に協力して対応することを期待する」と述べました。