2016年5月24日(火)

米大統領がベトナム訪問

「包括的パートナーシップ発展」

　【ハノイ支局】ベトナムを訪問中のオバマ米大統領は２３日、ハノイでチャン・ダイ・クアン国家主席と会談しました。会談後の共同記者会見でオバマ氏は今回の訪越について、「過去数十年間にわたって築いてきた関係と包括的パートナーシップの発展を象徴するもの」と強調しました。

　オバマ氏は記者会見で、ベトナムへの武器禁輸を全面的に解除すると表明。禁輸解除は「中国との関係を念頭に置いたものではない」と強調した上で、今後の武器輸出は「ケース・バイ・ケース」で可否を決めるとして､｢両国の思想的な違い」に基づいて決めることはないと述べました。

　クアン氏は謝意を表明し、「両国関係は完全に正常化した」と強調しました。

　オバマ氏は１９７５年まで米国が続けたベトナム侵略戦争に言及し、「戦争の悲痛な遺産」に米国が対処する上で、ベトナム側が協力したことに謝意を表明。具体的な例として、▽米兵の遺骨収集▽不発弾の処理▽枯れ葉剤の貯蔵・散布の結果、残留する猛毒ダイオキシンの除染作業―を挙げました。

　ベトナムと中国が領有権を争う南シナ海に関して、オバマ氏は「米国とベトナムは海洋安保で懸念を共有している」と述べ、「米国は航行や飛行の自由を維持する」と強調しました。

　米越など１２カ国が参加する環太平洋連携協定（ＴＰＰ）については、オバマ氏は年内に議会の承認を得られるとの展望を表明。クアン氏は、「ＴＰＰはアジア・太平洋地域の経済成長にとってけん引役になり得る」と語りました。

　米越両国は９５年に国交を正常化しました。ベトナムを訪問した現職の米大統領は２０００年のクリントン氏、０６年のブッシュ氏に続いてオバマ氏が３人目です。

　オバマ氏は１３年７月、ワシントンでチュオン・タン・サン国家主席（当時）と会談し、両国関係を「包括的パートナーシップ」に格上げすることで合意しました。