2016年5月23日(月)
NHK「日曜討論」 藤野政策委員長の発言
日本共産党の藤野保史政策委員長は22日のNHK「日曜討論」で、景気の現状とアベノミクス、「ニッポン1億総活躍プラン」などについて各党の政策担当者と討論しました。
景気・アベノミクス
落ち込む中間層 家計の応援こそ
初めに1〜3月期のGDP(国内総生産)が実質プラス0・4%(年率1・7%)となったことについて各党が発言しました。自民党の逢沢一郎・一億総活躍推進本部長は「穏やかな回復基調だが、期待していたほどの力強さはない」と述べ、民進党の長妻昭代表代行は「とくに個人消費が伸びていない。現状は相当深刻だ」と語りました。
藤野氏は、個人消費の2年連続マイナスは戦後初めてだと指摘し、「単に(消費税)増税の悪影響というにとどまらず、増税をきっかけとして経済の悪循環が始まっている」と語りました。
自民・逢沢氏は「消費税増税の影響が残っていないといえばうそになる」と述べるとともに、漠然とした将来不安があるとしました。民進・長妻氏は「格差の拡大が経済の足を引っ張っている。しかし『1億総活躍プラン』には格差の『か』の字もない」と批判。逢沢氏は「『1億総活躍プラン』は究極の成長戦略。将来不安を払拭して経済成長につなげたい」と語りました。
藤野氏は、個人消費の2年連続マイナスの一方で大企業の利益は3年連続で史上最高であることを指摘し、「トリクルダウンはまったく起きていない」と強調。とくに中間層の暮らしが厳しくなっていることを示し、「これでは経済が良くなるわけはありません。大企業から先に良くなるアベノミクスから家計を応援する方向に転換しないといけない」と語りました。
1億総活躍プラン
保育士待遇改善 給付奨学金ぜひ
政府の「1億総活躍プラン」に盛り込まれた同一労働同一賃金にテーマが移り、自民・逢沢氏は「同一労働同一賃金のガイドラインをつくって、例示をしっかりつくりあげていきたい」と述べました。
これに対して藤野氏は、安倍政権がこれまで行い、これからもやろうとしている労働法制の規制緩和を見直さなければ「本当の意味での労働環境の改善はできない」と主張しました。
民進・長妻氏は、個別法の改正にとどまらない同一労働同一賃金の全体の法律をつくる必要とともに、企業の内部留保を賃金に回すことを前提に考えなければならないと述べました。公明党の石田祝稔政調会長は「この問題、反対の人はいない。野党も法改正にご賛同いただけるだろう」と語りました。
同プランの保育士給与の月額6000円増などの待機児童対策について、民進・長妻氏は「不十分だ」と述べ、保育士の給与5万円アップの法案を野党が提出していることなどを語り、根本的な改革を強調しました。社民党の福島みずほ副党首は、国有地の活用による保育所の増設や野党共同提出法案の実現を訴えました。
藤野氏は、野党共同提出の法案について「これは超党派でぜひ実現したい」と強調。あわせて日本共産党が保育士給与を5年かけて10万円まで引き上げていく提案を別途行っていることも紹介し、保育士の待遇改善と社会的地位の向上、認可保育所の抜本的な増加を「緊急にやる必要がある」と語りました。
自民・逢沢氏は「保育士の処遇改善の方向はその通り。努力したい」と応じました。
同プランで給付型奨学金の導入が結論先送りとされたことについて、公明・石田氏は「先送りは誤解。最終結論はまだ出していない」と弁解しました。
藤野氏は、いま学生の2人に1人が奨学金を利用しているが、実態は「学生ローン」だと述べ、平均300万円、大学院まで行けば1000万円の借金を抱えている現状を示し、「こういう国には未来はない」と告発。月額3万円、年間36万円を70万人に支給するという党の提案を紹介し、「この財源は約2500億円です。これは政府の姿勢で出せるレベルだと思います。先ほど『投資』という言葉がありましたが、何倍、何十倍、あるいは金額に換算できないほどの効果があります」と語りました。
民進・長妻氏も、日本は先進国の中で教育の自己負担が一番重い国だと述べ、給付型奨学金の創設を求めました。自民・逢沢氏は「世代内の公平感もクリアしながら日本型給付をつくりたい」と述べるにとどまりました。
消費税10%増税
消費に一番打撃 増税は中止せよ
最後に消費税10%増税が議論となり、自民・逢沢氏は「最終的には安倍総理が適切に判断する」としながら、「個人的には(税率を)上げるべきだ」と述べ、公明・石田氏も「経済対策をしっかりやりながら、法律どおりやる(上げる)べきだ」と語りました。一方、民進・長妻氏は「今の経済の状況は相当悪い。(増税を)先送りして経済を立て直す必要がある」と述べ、社民・福島氏も「増税反対」を主張。両氏とも、消費税率引き上げを延期した場合、責任をとって安倍首相は退陣すべきだと語りました。
藤野氏は、個人消費が2年連続マイナスの中で「消費に一番打撃を与える消費税増税はとんでもない。中止すべきだ」と主張しました。さらに、社会保障のためには消費税が必要だとして増税した結果、個人消費が痛めつけられGDPも停滞するという失敗から学ぶ必要があると強調。「大企業には4兆円も減税しているわけですから、行き過ぎた減税をやめる。こういうところから能力に応じて負担してもらえれば財源はしっかり生まれてくる」と語りました。