2016年5月21日(土)
リニア認可取り消しを
東京地裁 沿線住民738人が提訴
JR東海(本社・名古屋市)が計画しているリニア中央新幹線について計画区間沿線の住民が20日、国交省の工事実施計画認可の取り消しを求め東京地裁に提訴しました。原告は東京都と神奈川、山梨、長野、静岡、岐阜、愛知の各県などの738人です。
リニア中央新幹線は品川―名古屋間を超電導で浮上するリニアモーター車両で結ぶもの。南アルプスを貫き、全長約286キロメートルの約86%がトンネル区間で総事業費も5兆円を超えます。国交省は着工の前提となる工事実施計画を2014年10月17日に認可。JR東海は同年12月、27年開業をめざし着工。
訴状は計画について、(1)新幹線鉄道網整備など全国新幹線鉄道整備法の目的に合致しない(2)リニア技術の未熟性、断層帯が通る南アルプスに大深度でトンネルを建設し地震や火災発生、避難体制など運行の安全性に疑問があるなど鉄道事業法違反(3)地下水脈の破壊、行き先の決まらない多量の残土発生や自然環境破壊など環境影響評価法違反―を指摘し、認可の取り消しを求めています。
提訴後の会見で川村晃生原告団長(山梨県)は、訴訟の目的について、認可取り消しとともに住民説明会などで疑問点に十分に答えないJR東海に対し、法廷で情報を開示させることだと強調。「単に沿線住民の問題ではなく、財政的にも環境的にも日本の将来のあり方を決める重要な問題。力強く反対運動を進めていきたい」と表明しました。