2016年5月20日(金)
ケララで左翼政権奪還
インド州議会選挙 州政府の汚職など争点に
4月から5月にかけてインドの五つの州・連邦直轄地域で行われた地方議会選挙(小選挙区制)の開票が19日、一斉に行われました。南部のケララ州(人口約3340万人)では、開票速報によると、140選挙区中91でインド共産党(マルクス主義)=CPIM=が主導する政党連合・左翼民主戦線(LDF)が勝利・リードし、州政権を5年ぶりに奪還する見込みとなりました。 (伊藤寿庸)
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16日に投票されたケララ州では、インド国民会議派を中心とした与党連合・統一民主戦線(UDF)とLDFとの直接対決の構図でした。UDF州政府は、1人を除いて閣僚全員が汚職・腐敗に関与したとされ、州の伝統産業の不振、全国平均の3倍に達する失業率、貧困層向けの安価な食品・日用品の店舗の閉鎖などが争点となりました。
LDFは、伝統産業の近代化と振興、高学歴失業者のためのIT観光、電機産業の誘致などの政策を提案しました。
ケララでは1957年に、分裂前のインド共産党のナンブーディリパッド氏が州首相に就任。アジアで初めて選挙で選ばれた共産党政権と呼ばれました。CPIM、インド共産党(CPI)などでつくるLDFは、87年、96年、2006年に州選挙で勝利し、政権をつくった経験があります。
一方、東部の西ベンガル州(人口約9135万人)では、与党「草の根会議派(TMC)」が294選挙区中215議席で当選もしくはリード。5年前よりもさらに議席を伸ばす勢いです。初めて選挙協力をし、選挙区調整を行ったCPIMを中心とした左翼戦線と国民会議派は、72選挙区でリード。両勢力の合計議席は前回の104から減らす見込み。会議派は微増でしたが、左翼の大幅な後退が響きました。
東部アッサム州(人口約3094万人)では、国政与党のインド人民党(BJP)の政党連合が、州政府与党・国民会議派を破って同州で初めての政権樹立を確実にしました。
南部タミルナド州(人口約7214万人)では、現与党の地方政党が政権を維持する見込みです。