2016年5月10日(火)
政府の報道抑圧に抗議
エジプト 記者ら内相解任要求
エジプトのジャーナリストが、政府に「報道を抑圧するな」と抗議し、たたかいを続けています。
きっかけは今月1日、警官40人がカイロにあるジャーナリスト組合本部ビル内で、反政府系ウェブサイトの記者2人を「うそのニュースを広めた」として拘束したことです。
ジャーナリスト組合は4日に緊急総会を開き、2000人以上が集結。「ジャーナリズムは犯罪でない」として、内相の解任はじめ、拘束中の約30人のすべての記者の解放などを求めました。
組合は政府系、独立系を問わず、新聞やウェブサイトの記者8500人を擁しています。組合のヤヒヤ・カラシュ委員長は3日の記者会見で「自由の拠点の組合本部に乱入するのは犯罪だ」と怒りをあらわにしました。
組合によれば、警察の組合本部乱入は組合75年の歴史で前例がありません。
内務省は、逮捕令状を取ってあるとして正当性を主張。これに対して法律家は、組合本部内への立ち入りには組合委員長の同伴が必要と定めたジャーナリスト組合法に違反すると指摘しています。
政府系のアルアハラム紙も3日付社説で内相解任を要求し、「組合本部への乱入は承服できない」と厳しく批判。独立系アルマスリ・アルヨウム紙7日付は、1面トップで「報道の自由のたたかいを続行中」と大きく報じました。
エジプト政府は先月9日、これまで実効支配してきた紅海の二つの小島をサウジアラビア領と確認すると発表。これを機にカイロで15日に数千人の反政府デモがありました。
政府が反政府活動への警戒を強めているなかで、今回の記者拘束という事態が起きています。
(カイロ=小玉純一)