2016年5月9日(月)

首相側近の萩生田官房副長官告発

オンブズマン　政治資金で「慶弔見舞」

　高木毅復興相の香典支出が問題になっていますが、市民団体「政治資金オンブズマン」はこのほど、安倍晋三首相の側近である萩生田光一内閣官房副長官が政治資金で支出した「慶弔見舞」が公職選挙法違反にあたるとして東京地検に告発状を送付しました。

　告発された萩生田光一衆院議員（東京２４区）は、安倍首相の側近中の側近として知られます。

　自民党総裁特別補佐だった２０１３、１４、１５年と安倍首相の代理人として靖国神社に玉串料を奉納しています。

　告発状や政治資金収支報告書などによると、萩生田氏が支部長の「自民党東京都第２４選挙区支部」は１４年に、１３７万５０００円を「慶弔見舞金」として支出していました。

　「はぎうだ光一後援会」は、１２年に１２２万５０００円、１３年に１２７万５０００円の「慶弔見舞」を支出していました。

　ところが高木復興相の「香典」問題がテレビの全国ニュースで放映された翌日（昨年１１月２日）になると、萩生田氏側は収支報告書を訂正。訂正では、「慶弔見舞」のほとんどを削除していました。

　告発状は、政治団体が選挙区内の有権者への寄付を禁じた公職選挙法（後援団体に関する寄付の禁止）や政治資金規正法（虚偽記載）に違反するとしています。

　本紙の取材に萩生田事務所の担当者は「告発状に書かれている通り。日本の風習ということで自民党はやってきた。議員本人の心情に沿う形で私費の支出に訂正し、政治資金の支出から削除した」と認めました。

　「法令違反ではあるが、罰則規定はないという議論がある」と居直りました。

　また、告発状では萩生田氏について５９３万円余りの政治資金の不記載などがあると告発しています。

　萩生田氏の他にも政治資金オンブズマンは、安倍首相の実弟である岸信夫衆院議員(山口2区)､安倍首相の選挙区である山口県下関市の市長だった江島潔参院議員（山口選挙区）の２人を山口地検に告発しています。

　告発状によると、江島氏が代表の「自民党山口県参院選挙区第一支部」は「清和政策研究会」（自民党細田派）から、１３年に計１００万円の寄付を受けていながら、収支報告書に記載していませんでした。

　告発状は、江島氏が総額２４３万円について、岸氏については総額４１０万円余の不記載や虚偽記載などの政治資金規正法違反の疑いがあるとしています。

　本紙の取材にたいし、江島氏の事務所は「現在調査をしております」とのべ、一部は告発を受け、４月に収支報告書を訂正したと回答しました。

　岸氏に取材を申し込みましたが、８日までに回答は得られていません。