2016年5月8日(日)
税逃れ対策 議会に要請
米大統領 資金洗浄強化へ法整備
「パナマ文書」受けて
【ワシントン=島田峰隆】オバマ米大統領は6日、ホワイトハウスで会見し、「汚職や課税逃れが世界中で大問題になっている」と語り、5日に米財務省などが発表した課税逃れや資金洗浄の取り締まり強化策に基づいて議会が法整備を進めるよう呼び掛けました。
米財務省などは5日、多国籍企業や富裕層によるタックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を暴露したパナマ文書の問題を受けて、一連の対策を議会に要請しました。
ルー財務長官は議会に送った書簡で、課税逃れに利用されるペーパー会社の設立を難しくするために、▽金融機関に口座を開く顧客企業の実質的な所有者や経営者の身元を確認する▽海外の銀行での資産隠しを防ぐために、金融機関の口座情報を各国で共有する仕組みを強化する―ことなどを求めました。
また上院に対して、税金に関する国際条約のうち米国が未承認のものを早急に承認するよう促しました。
オバマ氏は「これらの対策は経済のルールをゆがめず、すべての人のために機能させるための努力の一環だ」と指摘。「ただ議会が行動しないことには実現しない」と強調し、議会に法整備を訴えました。また「課税逃れは地球規模の金融システムで行われている。他国と協力しないと取り締まりは難しい」と語り、各国の協調した行動を求めました。