2016年5月7日(土)
2016米大統領選
トランプ氏指名獲得確定
共和党内 警戒・戸惑い
【ワシントン=島田峰隆】米大統領選挙の共和党候補指名争いで、ジョン・ケーシック・オハイオ州知事(63)が4日、撤退を表明しました。代議員獲得で2位だったテッド・クルーズ上院議員(45)が3日に撤退表明したのに続く動きです。これによって共和党指名レースに残ったのは不動産王のドナルド・トランプ氏(69)だけとなり、11月の大統領選への候補者指名獲得が確定しました。
態度未定や指名の大会欠席も
過激な発言を繰り返すトランプ氏に対し、共和党主流派が昨年以来「トランプ降ろし」に動いた中での「圧勝」でした。
党内からはトランプ氏を軸にした団結を呼び掛ける意見が出ています。他方、同氏には依然として警戒や戸惑いが強く、党内には深刻な亀裂が残っています。通常なら、米大統領選へ向けた党内での指名争いが終わり、候補者が一人に絞られたら、党は再び団結します。そうならないところが、今回の指名争いの異例さを示しています。
上院指導部のマコネル共和党院内総務は4日、トランプ氏を支持する意向を示し、「トランプ氏は共和党の目標へ党を結束させる機会と義務を持っている」と強調しました。
一方で、ライアン下院議長は5日、米CNNで「現在はトランプ氏を承認する準備がない。指名候補はリンカーンやレーガンのように共和党の原則を持ち、幅広い米国民に訴えるようになってほしい」と注文をつけました。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、トランプ氏の指名獲得確定を受けての対応について、共和党の知事や上院議員ら70人以上に尋ねたところ、返答があったのは約20人だけで、その多くも“未定”でした。ブッシュ元大統領やその息子のブッシュ前大統領らは、トランプ氏が正式に候補に指名される7月の党大会に出席しない意向を示しています。
与党民主党の最有力候補、クリントン前国務長官(68)は4日、「トランプ氏のような何をしでかすか分からない人に米国をまかせるのは危険だ」と批判。本選挙でトランプ氏の当選を阻止するために民主党の結束を訴えました。
ニューヨーク・タイムズ紙は4日付社説で、「共和党指導部にはトランプ氏指名を招いた失敗や裏切りを説明する義務がある」と指摘。背景には、世界経済危機で雇用や貯蓄を失った中間所得層に支援を約束しておきながら、共和党が無策だったことがあるとしています。
ワシントン・ポスト紙は5日付社説で、トランプ氏の公約には財政的裏付けがないとし、「彼の指名獲得は共和党にとって惨事だ。共和党はなぜこの事態が起こり、どうやって再生するのか考えなければならない」と指摘しました。