2016年5月5日(木)
シリーズ 共産党の改革提案
チェンジ 安倍政治
税金の集め方
能力に応じた税負担
税金の集め方は、国の姿勢を端的に表します。大企業には減税、国民には増税を押し付けている安倍晋三政権。日本共産党は、「国民いじめのアベ税制」を転換し、負担能力に応じた公正で民主的な税制を目指しています。
■最悪の不公平 憲法精神に逆行
消費税10%を中止する
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所得の高い人はより高い税率で負担し、所得の低い人は低い税率で負担すること―。「これが応能負担の税制と呼ばれるもので、日本国憲法に基づくものです」と税理士で立正大学客員教授の浦野広明さんは指摘します。法の下の平等(14条)、個人の尊厳(13条)、生存権(25条)、財産権(29条)などから導かれます。
消費税は、所得の低い世帯ほど負担が重くなるもので、憲法の精神に逆行しています。
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消費税率が10%になった際の負担率を試算すると、「軽減税率」が導入されても、年収200万円以下の世帯には年収比6・7%もの消費税負担になります。一方、年収1500万円以上の世帯での消費税の負担は2・4%にとどまります。
最悪の不公平税制である消費税は、景気破壊税でもあります。三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の片岡剛士さんも「消費税増税は、延期ではなく凍結すべきだ」(「朝日」4月27日付)と指摘します。
日本共産党は消費税率10%への増税の中止を強く求めます。
■経済学者も「法人税を財源に」
大企業減税バラマキやめる
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能力に応じた税負担という考え方は、企業にも当てはまります。しかし大企業ほど税負担が低くなっているのが実態です。研究開発減税など大企業ほど利用しやすい制度があるためです。14年度の研究開発減税は6746億円。トヨタ自動車1社だけで1084億円もの減税です。
ただでさえ低い大企業の税負担を安倍政権はさらに引き下げてきました。12年の発足以降、東日本大震災の復興財源にあてる復興特別法人税を廃止し、法人税率を引き下げるなど約4兆円の減税を決めています。
安倍政権は大企業の税負担を減らせば、労働者の賃金や設備投資が増額するとしています。しかし実際には、内部留保が増えただけの「ニセ宣伝」。大企業は工場や機械設備など有形固定資産を減少させました。賃金はわずかに増えましたが、物価上昇を考慮すればマイナスです。
日本共産党は、安倍政権による4兆円もの大企業減税バラマキを中止し、研究開発減税など大企業優遇税制を抜本的に見直すことを求めています。
経済学者の野口悠紀雄氏も「法人税を増税して財源を賄うべき」(『サンデー毎日』4月10日号)と指摘します。
■年所得1億円超すと負担軽く!?
所得税改正・富裕税を
安倍政権下で富裕層への富の集中が強まっています。米誌『フォーブス』が発表した長者番付によると、日本で最も資産を保有しているのはユニクロなどファーストリテイリング会長の柳井正氏で、その額1兆9609億円です。「円安」株高を演出するアベノミクスによって資産を急増させました。
しかし、大金持ちほど税金を払っていないのが現実です。所得税負担率は1億円をピークに低くなります。所得税の最高税率は45%ですが、株式などの譲渡にかかる税は15%に抑えられているからです。
安倍政権の下で広がる格差と貧困の是正のためには、所得再分配機能を再建・強化することが必要です。
日本共産党は現行55%まで引き下げられている所得税・住民税の最高税率を98年までの65%に戻すことを提案しています。証券税制も株式配当は少額の場合を除き、総合課税を義務づけます。富裕層の高額の配当には所得税・住民税の最高税率が適用されるようにします。また、富裕税の創設(相続税の評価基準で5億円を超す資産の部分に1〜3%の累進課税)を行います。
企業や富裕層の税逃れに利用されているタックスヘイブン(税金が低く、秘密性の高い国や地域)については、国際的な税逃れに対し、国内税制の強化とともに、国際的なルールづくりへのイニシアチブの発揮を、日本政府に求めています。
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