2016年5月2日(月)
米軍のアフガン病院空爆
処分軽い、独立調査を
遺族や人権団体が要求
【ワシントン=島田峰隆】昨年10月に米軍がアフガニスタン北部クンドゥズで国際医療支援団体「国境なき医師団」(MSF)の病院を空爆した事件をめぐり、関与した将兵らに米軍が下した処分が軽すぎると批判が出ています。遺族や人権団体は、米軍の国際法違反について独立した調査を求めています。
米軍は4月29日、事件の内部調査報告書を発表。“空爆は意図的でなく戦争犯罪ではない”として将兵らを戒告や停職などの処分で済ませました。
おいを失ったアブドゥル・サマッド氏は30日、米軍準機関紙「スターズ・アンド・ストライプス(星条旗)」に対し、「空爆は非人道的な行為だ。アフガンの法律と国際法に違反している」と指摘。「関係者がアフガンにいればその国の法律で有罪にできるのだが」と悔しさをにじませ、米軍に対して関係者を殺人の罪に問うよう求めました。
MSFは29日、「将兵らの重大な責任を問わなかったことは、戦争関与者に悪いメッセージを送る。戦時のルールが将来破られる危険を抑止することにならないだろう」と非難しました。米軍の調査だけでは不十分だとし、真相解明を任務とする国際機関による「独立した偏りのない調査」を要請しました。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル米国は、米軍の報告書発表に先立つ28日、米軍以外による独立した調査を要求。「国際人道法の原則をこれ以上崩さないために、米政府には重大な法律違反を独自に調べ、責任者を訴追する義務がある」と強調しました。
ニューヨークに本部を置く団体「人権のための医師団」は29日、将兵らへの軽い処分は「遺族への侮辱だ」と指摘しました。「犯罪について全面的な調査を避けることは、米国自らが国際的に支持する公正や説明責任の基準に反することだ」と批判しました。