2016年4月27日(水)
欧米5カ国首脳 シリア問題など協議
オバマ氏 米軍の増派表明
難民対策 NATOリビア沖展開も
【パリ=島崎桂】米英独仏伊の5カ国首脳は25日、ドイツ北部ハノーバーで首脳会議を開き、シリアやリビア、ウクライナ問題を協議しました。会談に先立ち同地で演説したオバマ米大統領は、シリア反体制派支援のため、米軍の特殊部隊250人を増派すると発表しました。
米国は現在、シリアに50人の特殊部隊を常駐させています。今回の追加配備により、その規模は6倍の300人になります。
オバマ氏はこのほか、欧州各国に防衛予算の拡大を要求。「全ての北大西洋条約機構(NATO)加盟国が、国内総生産(GDP)の2%を拠出する必要がある」と訴えました。
首脳会議では、オバマ氏が特殊部隊の増派を説明したほか、各国にシリア反体制派への支援強化を求めました。
移民・難民問題も議題となる中、各国は、リビア沖での密航業者の取り締まりや海上警備の強化に向け、NATOの協力を求めることで一致。7月にポーランドの首都ワルシャワで開かれるNATO首脳会議で議論される見通しです。
NATOの協力はイタリア政府が求めていたもの。北アフリカから欧州を目指す難民らにとって、リビアは主要な出発地、イタリアは主要な到着地となっています。
イタリア政府は、リビア沖での対策強化により難民らの流入抑制を企図していますが、難民支援団体などは同政府の姿勢を非難しています。
また、リビアではNATOの空爆を受けたカダフィ政権の崩壊(2011年)後、混乱に乗じて過激組織ISが流入、勢力を拡大しており、リビア沖でのNATOの活動は新たな火種を生む恐れもあります。
会議ではこのほか、シリア紛争をめぐるアサド政権の停戦違反に懸念を表明。ウクライナ問題をめぐり欧米諸国が発動した対ロシア制裁については、ロシアによる停戦合意の完全履行が解除の条件だと改めて確認しました。