2016年4月22日(金)
難民船沈没 500人水死か
国連機関発表 救助された人証言
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【パリ=島崎桂】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は20日、北アフリカのリビアからイタリアに向かう難民らを乗せた船がその途上の地中海で沈没し、500人あまりが水死した可能性があると発表しました。確認されれば、ここ1年の難民船の水難事故で最悪の悲劇となります。
今回の事故は、最近救助された難民らが証言したものです。
生存者によると、難民らは100〜200人乗りの船でリビアのトブルクを出航。密航業者が乗り換えのために沖合に用意した全長30メートルほどの船は既に満員状態で、乗り換えの際に「人が多すぎて沈んだ」といいます。
ソマリア、エチオピア、エジプト、スーダン出身の生存者41人は16日、地中海を漂流中に商船に救助され、現在ギリシャ南部カラマタで保護されています。UNHCRは証言を基に、事故は13日に起きた可能性が高いとしています。
生存者の1人は国際移住機関(IOM)に対し、事故で妻と2カ月の息子、義理の兄弟を亡くしたと証言。「みんな数分の内に死んだ」「沈没の後、食料も何もない中で海上を数日間漂った。自分も死ぬと思っていた」と語りました。
UNHCRのスピンドラー報道官はロイター通信に対し、今回の事故は「地中海で日常的に起きていることの新たな事例」だと指摘しました。
中東やアフリカから地中海、エーゲ海をわたり欧州入りした難民は、今年だけで既に約18万人。渡航中の死者・行方不明者は、確認されたものだけでも761人に上っています。