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2016年4月15日(金)

韓国総選挙 与党大敗第2党に後退

朴政権に厳しい審判

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 【ソウル=栗原千鶴】13日に投票された韓国国会(定数300、うち小選挙区253、比例47)で、第1党だった与党セヌリ党が議席を122へ大きく減らし第2党に後退しました。首都圏で圧倒的な強さを見せた野党「共に民主党」が123議席で第1党に躍進。庶民生活を圧迫する経済の現状に批判を強める有権者が、朴槿恵(パク・クネ)政権に厳しい審判を下した結果となりました。


 第3党の「国民の党」も38議席へ大きく伸長。左派政党・正義党は1議席増やして6議席を得ました。無所属を除く野党3党は過半数を上回る163議席を確保。2018年2月まで任期を2年近く残す朴政権は、今後難しい国政運営を迫られることになります。

 セヌリ党は、小選挙区の半数近くを占める首都圏(122議席)で35議席にとどまり、現行の選挙制度を導入した1988年以来、最悪の結果となりました。

 また同党の強固な地盤だった南東部の大邱市でも議席を失いました。金武星(キム・ムソン)代表は14日の記者会見で「厳しい審判を謙虚に受け止める」と述べ、代表を辞任すると表明しました。

 第1党になった「共に民主党」は首都圏で82議席を獲得し圧勝。記者会見した同党の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長は、「朴政権とセヌリ党による経済政策失敗の責任が厳しく裁かれた」と指摘しました。

 一方、「共に民主党」の地盤といわれた南西部の全羅北道、全羅南道、光州市で28の小選挙区のうち23区で勝利し躍進を遂げたのが、「共に民主党」を割って旗揚げした新党「国民の党」です。比例代表の得票では「共に民主党」を上回る支持を得ました。

解説

政治の転換求めた有権者

 韓国の有権者は、3年を過ぎた朴槿恵(パク・クネ)政権に対して政治の大きな転換を求めました。

 物価や家賃の高騰、家族のリストラ、子どもや恋人の就職難、高額な教育費、電気料金や税金の引き上げ、拡大する貧富の差―。遊説先や投票所周辺などで聞いた有権者の声は、経済の現状を変えてほしいという切実な願いに満ちていました。

 ソウル市内で「共に民主党」の街頭演説を聞いていたユ・ドヨンさん(28)は、2012年の大統領選挙で「経済民主化」を約束した朴大統領について「公約の実行力に疑問がある。総選挙では野党に勝ってもらいたい」とし、政権批判票を投じると語りました。

 与党大敗を象徴するのが「保守の牙城」といわれる大邱市。朴大統領の出身地で、議員時代の基盤です。

 2000年の総選挙以来、12選挙区すべてでセヌリ党系の候補が当選してきました。今回は「共に民主党」の金富謙(キム・ブギョン)氏が勝利し、他の三つの地域でも無所属候補が当選。同党の牙城を崩しました。

 同地域では「誰でも保守なら議員になれると思っている」「おごっている」などの批判が上がっていました。地元メディアは、朴大統領の強引な国政運営に「危機感があった」という市民の声も伝えています。

 一方、「共に民主党」から離党した議員らでつくる「国民の党」の躍進も注目されています。当初、野党票が分散するといわれましたが、「国民の党」が保守層の不満を吸収し、選挙区でセヌリ党に入れた有権者が、比例で「国民の党」に入れたとの見方が出ています。

 地元メディアは、二大政党がいずれも過半数に届かない中で、同党が今後の国会運営のキャスチングボートを握るとの声も上がっています。

 (栗原千鶴)


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